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アコースティックギターの定番!「ドレッドノート」を徹底研究!
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私たちの日常生活において、比較的身近な弦楽器の1つといえるアコースティックギター。
非常に高い表現力を持つ弦楽器ですので、今日では、あらゆるジャンルの音楽でその美しい音色を聴くことができます。
そんなアコースティックギターですが、一見するとどれも同じように見えるものです。
その中から自身のプレイスタイルに合った一本を見つけ出すには、各モデルの特徴や個性を把握できなければなりません。
今回ご紹介するのは、アコースティックギターの定番モデルである「ドレッドノート」について。
これからギター演奏に挑戦する初心者の方は、ドレッドノートとはどういったギターなのか、基本の“き”を押さえることからはじめましょう!
目次
ドレッドノートってどんなギター?特徴とは?
まずは、ドレッドノートの外観や音色の特徴、使用される木材(材質)の傾向からチェックしていきます。
ドレッドノートとは?
ドレッドノートとは、1916年にアメリカの大手楽器メーカー「MARTIN(マーティン)」が発表した大きなボディ形状を特徴とするアコースティックギターの商品名です。
名前の由来はイギリスの大型戦艦で、欧米諸国では“大きなもの”を象徴する言葉となっています。
具体的なボディ形状の特徴としては、くびれが小さく、厚さもあること。
従来のアコースティックギターの常識を覆すボディサイズ・デザインは、当時の音楽シーンに大きな衝撃を与えました。
このギターが誕生した以降、多くのメーカーがドレッドノートスタイルのボディを採用するようになり、今日ではアコースティックギターの定番モデルとして世界中のギタリストに愛用されています。
ドレッドノートのサウンドの特徴は?
サウンド面の特徴として、大型のボディから繰り出される豊かな音量が挙げられます。
ストロークのみでなく、フィンガーピッキングによるリードプレイにおいても十分な音量が得られますので、幅広いプレイスタイルに対応可能。
個体や材質によっては、やや低音が強い傾向にあるものの、基本的な音質バランスは整っています。
ソロプレイはもちろんのこと、バンドアンサンブルにも馴染みやすいサウンドであるため、ほかの楽器に埋もれる心配がありません。
欠点としては、ピックアップを載せたエレアコとして使用する際に、ハウリングが起こりやすいという点です。
しかし、今日では高性能なピエゾピックアップも登場しているため、このデメリットは十分カバーできるようになっています。
ドレッドノートの材質は?
ボディやネックの材質は、そのギターのサウンドを決定づける重要ポイント。
ドレッドノートはアコースティクギターの定番モデルですので、様々な材構成のものが存在しています。
最も一般的なのが、ギターのトップ材にスプルースを、サイド/バック材にマホガニーという木材を使用した組み合わせです。
ネックには様々なハードウッドが用いられるものの、マホガニーまたはメイプルが定番となっています。
とはいえ、中にはトップ材までマホガニーで構成されているものや、木目が美しいという理由から、コアウッドを採用するギターもでてきています。
さらに近年では、合成材やグラファイトなどの特殊素材をボディおよびネックに採用した現代的なモデルまで登場しています。
材質1つでギターの音色や演奏感は大きく異なりますから、様々な組み合わせのモデルを手に取り、店頭で試奏してみることをおすすめします。
ボディは単板と合板、どちらがいい?
ドレッドノートに限らず、アコースティックギターのボディ材には単板のものと合板のものがあります。
一般的に、高価なモデルであるほど単板が、安価なモデルには合板が採用される傾向にあるのです。
確かに単板ボディは音鳴りがいいため、豊かな音量と十分な倍音が得られます。
一方でボディ自体の強度が低く、弦の振動がボディの鳴りによって奪われることから、サスティーンが短くなるという欠点もあります。
また、エレアコとして使用する場合は、豊かな音鳴りや倍音がハウリング・ノイズの原因となるケースも。
これらの欠点があることから、あえて合板ボディのアコースティックギターを使用しているプロギタリストは少なくありません。
「単板ボディ=トータルで優れている」というわけではないので、その点だけ覚えておきましょう。
マーティン以外はドレッドノートを名乗れない?
今日では、数多くのブランドからドレッドノートとほぼ同じ形状のギターが販売されています。
上述した通り、今やこのシェイプはアコースティックギターの定番となっていますので、一般的にはドレッドノートと呼ばれていますが、正式に名乗ることはできません。
なぜなら、ドレッドノートはあくまでマーティンギターの1モデルであり、商標登録もされているからです。
ここでは便宜上、このタイプのアコースティックギターを「ドレッドノート」と呼ばせていただきますが、他メーカーのものは別の正式名称を付けているケースがほとんど。
これは、エレキギターにおけるギブソンの「レスポール」やフェンダーの「ストラトキャスター」も同様です。
代表的なドレッドノートのモデルをチェック!
続いて、各メーカーから販売されているドレッドノートの代表的モデルをいくつかピックアップしていきます。
同じドレッドノートでも、メーカーやモデルによって違いがありますので、自身のプレイスタイルに合いそうな一本をお探しください。
マーティン D-28
ドレッドノートを語るのであれば、やはり「本家本元」であるマーティンは外せません。
いくつもラインナップされているドレッドノートの中でも、最もスタンダードなモデルがこのD-28。
1931年の発売以来、多くのギタリストに愛用され続けている定番中の定番です。
ボディの材構成も、ポピュラーなスプルーストップとローズウッドバック。バランスのいいサウンドでどのようなプレイスタイル・音楽ジャンルにも対応できます。
決して安価なギターとはいえませんが、そこは天下のマーティン。所有欲も満たしてくれる大人の一本です。
マーティン DXMAE
「マーティンのドレッドノートが欲しいけど、D-28はちょっと高い……」という方におすすめなのがDXMAEです。
マーティンブランドのドレッドノートでありながら、実売価格は10万円が切っている、コストパフォーマンスに優れた一本となります。
このモデルは、ボディ材にハイプレッシャー・ラミネイトと呼ばれる合成材を使用することで低価格を実現しています。
合板ボディというと、ネガティブなイメージを抱いてしまう方も多いでしょうが、単板ボディにも引けを取らない豊かな音量とバランスのいいサウンドは、まさに本家本元のドレッドノートそのものです。
DXMAEには最初からフィッシュマン製のピックアップが搭載されていますので、エレアコとしても使用可能。
アコースティックギターの入門モデルとしてはもちろん、ステップアップを目指す中上級者にもおすすめです。
テイラー 110
高品質のアコースティックギターブランドとして知られているテイラー。
同ブランドのドレッドノートモデルの中でも、エントリークラスに位置するのが110です。
実売で10万円前後という価格帯ながら、トップ材にはスプルースの単板を使用しているため、ナチュラルかつ豊かなサウンドを実現しています。
ボディおよびネックの塗装はサテンフィニッシュで仕上げられており、見た目的な面では好き嫌いが分かれてしまうかもしれませんが、サラサラとした触感でプレイアビリティは抜群。
こちらのモデルには、同ブランドオリジナルのピエゾピックアップが搭載されていますので、アンプを通してもナチュラルなアコギサウンドを楽しむことができます。
ヤマハ FG840
最後にご紹介するのは、日本を代表するギターメーカーのヤマハです。
このFG840は実売価格5万円前後と、これまでにピックアップしたドレッドノートの中でも、最もリーズナブルな価格帯にあたります。
特徴として、スプルース単板トップにフレイムメイプルのサイド/バック材を組み合わせることで、見た目が美しいだけでなく、アタック感の強いエッジの効いたサウンドを実現。
一般的なドレッドノートよりも音抜けがいいため、バンドアンサンブルとの相性も抜群です。
ドレッドノートを使った名演を聴いてみよう!
ここまでで、ドレッドノートというギターについてある程度把握できたかと思います。
最後に、世界的な名ギタリストたちの演奏から、ドレッドノートのサウンドをチェックしていきたいと思います。
ニール・ヤング
▲NEIL YOUNG – OLD MAN
マーティンのドレッドノートときいて、真っ先にニール・ヤングを思い浮かべる方も多いではないでしょうか。
同氏はD-28、D-45といったドレッドノートによる名演を数多く残しています。
「OLD MAN」ではドレッドノートらしいパワフルかつバランスのいいサウンドが楽しめますので、ぜひ一度視聴してみてください。
カート・コバーン
▲Nirvana – About A Girl (MTV Unplugged)
90年代前半のグランジ・オルタナティブロックシーンを牽引したニルヴァーナ。
フロントマンであるカート・コバーンもドレッドノートの愛用者です。
エレキギターのイメージが定着している同氏ですが、MTV Unpluggedにて披露した、マーティンD-18Eの演奏は必聴です。
ドレッドノートに秘められたポテンシャルを、思う存分感じられる名演といえるでしょう。
ジョン・フルシアンテ
▲Anthony Kiedis & John Frusciante – Under The Bridge (Amsterdam 1991) [HD]
三大ギタリストのひとりとして知られる、元レッド・ホット・チリ・ペッパーズのジョン・フルシアンテ。
彼もドレッドノートによる数多くの名演を残しています。特に、90年代初頭の音源では、マーティンDシリーズならではのサウンドを楽しめます。
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのキャリア初期の代表曲である「Under The Bridge」もその1つです。
まとめ
音楽ジャンルを問わず、現代を生きるギタリストであれば1本は持っておきたいドレッドノート。
マーティンを筆頭に、各メーカーから様々なモデルがラインナップされていますので、興味のある方は最寄りの楽器店や、楽器レンタルサービスを利用して、その美しい音色を堪能してみてはいかがでしょうか?
こちらの記事ではアコースティックギター弦の選び方を解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
ポメラニアン高橋 /
ビギナーズ編集部 ライター
ラーメンとロックをこよなく愛する洋犬ライター