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シャッタースピードの基礎知識|シャッタースピードを知れば被写体の動きをコントロールできる!

写真を撮影するのに重要な設定の1つである『シャッタースピード』。シャッタースピードを調節することによって写真を明るくしたり、動きが速い被写体も写り方が大きく変化したりします。シャッタースピードの調節の仕方や、おすすめの撮影シーンをご紹介します。練習してみてくださいね。
シャッタースピードの基礎知識|シャッタースピードを知れば被写体の動きをコントロールできる!

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写真撮影の基本となるのが、シャッタースピードと絞りです。

特に、シャッタースピードを変えることは光の量を変えることになり、被写体の動きを止めたり、流れるように撮影できたりと、趣味のカメラがより楽しくなります。

今回はシャッタースピードを中心に見てみましょう。

シャッタースピードとは?

シャッターが開いてから閉じるまでの時間の長さを『シャッタースピード』といいます。シャッターは光の量をどれだけ取り込むかを決めるため、カメラの心臓部分ともいえます。

シャッタースピードの単位

シャッタースピードの単位は『秒』です。
カメラの表示では1/500などと書かれていますが、この場合「500分の1秒」ということになります。

写真は、光の情報量によって画像の出来が決まってきます。光の量をどれだけ長い時間(短い時間)取り込むかを決定めるのが、シャッタースピードというわけです。

シャッタースピードの数値と表示の見方

一般的に1秒未満のシャッタースピードは1/125など、分数であらわします。カメラのスペックによって、シャッタースピードの表には若干の違いがあります。

シャッタースピードが遅いということは、シャッターが開いている時間が長いということになり、光の情報を長く、たくさん取り込むことになります。

逆に、シャッタースピードが速いのは、光の情報を少なく取り込むことになります。

写真においては、光の量が多ければ良いということではありません。

例えば、明るい場所や動く被写体を遅いシャッタースピードで撮影すると、光の情報量が多すぎて真っ白な写真になったり、被写体が大きくブレたりします。

被写体や周りの明るさを知り、シャッタースピードをコントロールすることで、レベルアップした写真が撮影できるようになります。

シャッタースピードと絞りの関係

シャッタースピードと同様、写真の撮影には絞りの数値も大事なポイントです。シャッタースピードと絞りは相互関係にあるということを把握しておきましょう。

絞りとは?

シャッターの絞りは光が通る穴の大きさです。絞りが開いた状態では、光の通り道が大きく、光の情報量も多くなります。

逆に、絞りをしぼった状態では、光の通り道が狭くなります。

絞りの値は「F」で表され、F値2.8といえば絞りが開いた状態、F11とあれば絞りが閉じられた状態を意味します。絞りとシャッタースピードがバランスよく設定できれば、写真の明るさも「適正露出」となります。

また、絞りは写真のピントが合う範囲を決める機能でもあります。絞り開放(小さい数値)ではピントの合う範囲(被写体深度)が浅く、シャープに写る範囲が狭くなります。

逆に、絞りが閉じた(大きい数値)では、広い範囲にピントが合うため、近くから遠くまでハッキリくっきり撮影できます。

シャッタースピードと絞りは連動している

同じ光の情報量を得る場合、

  • シャッタースピード遅い=絞りを開く
  • シャッタースピード速い=絞りをしぼる

という関係になります。

マニュアルモードで、シャッタースピードを優先に考えて撮影した場合、適切な絞りにしておかないと、真っ白(または真っ黒)な写真になるか、カメラ側が自動で判断し、シャッターが切れない状態になります。

シャッタースピードだけを変えて、撮影する場合は、絞りやISO感度を自動、AWB(オートホワイトバランス)で撮影したほうが無難といえます。

シャッタースピードと絞りの値は、被写体や周りの明るさによっても、様々な設定方法があります。ここでは、「相互関係にあるもの」と、シンプルに覚えておくと良いでしょう。

シャッタースピードを変える方法

シャッタースピードを変えて撮影するには、以下の2つの方法があります。
カメラ初心者であれば、『シャッタースピード優先モード』で練習するのがおすすめです。

シャッタースピード優先モードとは?

シャッタースピード優先モードは、シャッタースピードを自分で変えるかわりに、絞りやISO感度はカメラでオート設定させる撮影モードです。

参考写真はCanonのEOSでの表示です。『Tv』がシャッタースピード優先を表します。

カメラ上部のダイヤルで『Tv』を選ぶことで、シャッタースピード優先の撮影ができます。カメラの機種によって、表示が違いますので説明書を確認しておきましょう。

マニュアルモードでシャッタースピードを変えると?

シャッタースピードも絞りも自分で決めて撮影するのが、マニュアルモードです。シャッタースピードと絞りの関係性を十分に把握しておく必要があります。

以下はマニュアルモードで、シャッタースピードを変えて撮影した写真です。

シャッタースピード1/250秒/絞り F5.6 全体が暗くなってしまいました。

シャッタースピード1/125秒/絞り F5.6 ぬいぐるみの顔が明るく写り、背景にボケがあります。

下の写真は上の写真よりもシャッタースピードが遅いため、光の通過時間が長くなり、明るく撮れているのがわかります。

シャッタースピードの数値だけ見ると、差が小さく感じますが、マニュアルでの撮影では、絞りやISO感度も自在に設定できるため、1つの被写体でも多用な撮影が可能になります。

速いシャッタースピードでの撮影シーン

シャッタースピードを速くするということは、光の通る時間が短いということになります。動きの速い被写体が、止まって見える写真は、速いシャッタースピードで撮影しています。

止まって見える写真、シャッタースピードの速さは?

シャッタースピード優先でも、マニュアルモードでも、動きの速いものを止まったように撮影するには、シャッタースピードを速くするのがポイントです。

以下はシャッタースピード優先モードで撮影した写真です。いずれも絞りf5.6でISO感度オートです。

1/4000秒のシャッタースピードです。水滴が丸い玉のように止まって見えますね。

1/60秒にシャッタースピードを変えてみると、水は流れるままの連続性のある写真になりました。

このように、動きの速いものを止まったように撮影したい場合には、シャッタースピードを速くして撮影します。
逆に、動きの軌跡を残したい場合は、少しずつシャッタースピードを遅くして撮影してみましょう。

ペットや子供など動くものの撮影も速いシャッタースピードで

ペットや子供など動きのある被写体は、速いシャッタースピードで撮影します。
動き回る動物や子供を追いながらの撮影になるので、あらかじめシャッタースピードを1/2500前後に設定しておきます。

シャッタースピードの区切りは、カメラの機種によって異なります。必ず1/2500のシャッタースピードで!というわけではありません。

動画のように、ミラーレス一眼には、1/3200というシャッタースピードもあります。

晴れた屋外であれば十分な光量が得られますので、シャッタースピード優先モードで、数多く撮影してみると、コツがつかめます。

シャッタースピードを遅くすると幻想的な写真が撮れる

シャッタースピードを遅くすると、それだけ光の通る時間が長くなります。
光量の少ない夜間の撮影などでは、シャッタースピードを遅くすると、幻想的な風景が撮影できます。

車のテールランプはシャッタースピード遅めISOも低めに

車のテールランプが流れるような写真は、シャッタースピードを遅くして撮影しています。

動画ではシャッタースピードを、10~8秒とかなり遅く設定しています。

シャッタースピードを遅くすると、光の軌跡を残せるものの、どうしても手ブレが生じてしまいますので、夜間の撮影には三脚が必須といえます。

またISO感度100~200と暗めにするのもポイントです。

ISO感度を上げた場合、1/50~1/60のシャッタースピードであれば夜間や室内でもきれいに撮影できますが、今回はシャッタースピードを遅く(長く)設定するため、ISO感度を低くして、真っ白な画像になるのを防ぎます。

何枚か撮影して画像全体が明るいようであれば、絞りの数値を大きくしてみましょう。

絞りは被写体深度(ピントの合う範囲)に影響します。絞りをしぼる(数値を上げる)と被写体深度が深くなり、遠くまでピントが合います。

奥行きのある夜景撮影ですので、シャッタースピードを決めたら、絞りで微調整してみましょう。

とっても遅いシャッタースピード|バルブ撮影とは?

シャッタースピードの基本は「秒」ですが、これを「分単位」で遅くした撮影方法があります。
これは『バルブ撮影』といって、長時間シャッターを開けて撮影する方法です。

『バルブ撮影』は、シャッターボタンを押している間継続して、シャッターが開きっぱなしになり、ボタンから手を話すとシャッターが閉じるという仕組みです。

遅いというよりも、開けっ放しと言ったほうがわかりやすいですね。

バルブ撮影の代表といえば、星の動きなどを長時間にわたって撮影した、光の軌跡を残した写真です。
マニュアルモードでの撮影に慣れたら、チャレンジしてみたい技法でもあります。

なお、バルブ撮影をする場合は、長時間露光のためカメラがブレないよう、三脚でしっかり固定しましょう。

また、シャッターを開ける時間が分単位になるので、タイマー付きのリモコンシャッターも別途必要になります。

まとめ

シャッターは光の通り道で、光が通る時間の長さが『シャッタースピード』ということになります。

また、シャッターをどれくらいの広さで開けるかという『絞り』も、写真撮影には大きく影響してきます。

シャッタースピードと、絞りには相互関係があり、どちらかが偏った数値では思ったような撮影ができなくなります。

カメラ初心者であれば、シャッタースピード優先モードを使って練習するのがおすすめです。

同じ被写体で天気の安定している日に、シャッタースピードの数値を変えて撮影すると、その違いがハッキリわかります。

特に、動きの速い被写体(車/バイク/滝や噴水などの水)はシャッタースピードの違いで、大きく結果がわかり、面白い写真が撮れるようになります。

デジタル写真には、撮影した時の情報がデータとして一緒に残ります。写真のプロパティーや写真編集ソフトなどで、シャッタースピード、絞り値、ISO感度などの情報が確認できますので、メモを撮らなくてもあとで振り返るのに便利です。

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藤加祐子 /
ビギナーズ編集部 ライター

仙台市出身在住。フリーライター・写真家・タティングレース作家。古書店巡りとフルート演奏が趣味。仙台フィルの演奏を聴くのが自分へのご褒美です。

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