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電子書籍は記憶に残りにくい?原因や対処法について詳しく解説!

電子書籍は記憶に残りにくい?原因や対処法について詳しく解説!

※当記事はアフィリエイト広告を含みます。

ほしい本が紙媒体と電子書籍で販売されている場合、どちらを購入しようか迷ってしまうことはありますよね。

紙の本と電子書籍を使い分けられると、効率よく読書できます。それは、それぞれに独自のメリットがあるためです。

「電子書籍は記憶に残りにくい」と言われますが、果たして本当なのでしょうか。

そこで今回は、電子書籍と記憶の関係性に着目し、電子書籍が記憶に残りにくい原因や対処法について解説していきます。

学習のために、紙の本と電子書籍のどちらを購入しようか悩んでしまう人はチェックしてみてください。

電子書籍が記憶に残りにくい原因【研究】

電子書籍が記憶に残りにくい原因について、2つの研究に基づいて考察し解説していきます。

電子書籍端末と紙媒体の比較に関する研究

2012年に発表された小林亮太氏らによる研究では、大学の学部生・大学院生36名を対象にタブレット端末(iPad)と紙媒体を読んだときの記憶や理解度をテストしました。

タブレット端末と紙媒体のそれぞれを使って、文学的・説明的文章の2タイプの文章を被験者に読ませます。

文学的文章は小説家による随筆文で、説明的文章は自然科学の解説書からの抜粋文です。

その結果、主観的な読みやすさについて、タブレット端末は紙と同等の性能を有していることがわかりました。

説明的文章における読む速度や逐語的記憶については、媒体による有意差が見られる結果が出ました。

文章理解に関しては、タブレット端末よりも紙媒体に優位性があることが明らかになりました。

読む速度・記憶テスト・理解テストの結果をまとめると、以下のことがわかります。

テストの結果
  • 説明的文章では、iPadのほうが紙の本よりも速く読める
  • 説明的文章では、紙の本のほうがiPadよりも記憶に残りやすい
  • 文学的文章と説明的文章のいずれも、紙の本のほうがiPadよりも理解度が高い

参考:表示媒体が文章理解と記憶に及ぼす影響-電子書籍端末と紙媒体の比較-

それぞれの結果について、iPadを電子書籍に置き換えて掘り下げていきます。

電子書籍は直感的に認知しにくい

説明的文章においては、紙の本のほうが記憶に残りやすいことが示されています。

随筆文については差が見られませんでしたが、説明的文章では紙の本が優位でした。

参考書などで勉強する場合に、電子書籍よりも紙の本のほうが記憶に残りやすいと実感している人は少なくないかもしれません。

五感への刺激も、記憶に影響していると考えられていて、紙の本の方が、直感的にメモを残すことが可能です。

また、電子書籍は指1本でページをスライドできます。しかし、紙の本はダイレクトにページをめくりますよね。

より直感的な動作を伴うので、紙の本のほうが記憶によい影響を及ぼしている可能性があります。

電子書籍のほうが理解しにくい

随筆文についてはあまり差が見られませんでしたが、説明的文章では紙の本の方が理解しやすい結果となりました。

理解度が高ければ高いほど、それだけ記憶の定着によい影響を及ぼします。

そのため、電子書籍のほうが紙の本よりも記憶に残りにくいことが推察されます。

しかし、被験者は大学の学部生・大学院生です。これから生まれてくるようなデジタルネイティブにとっては、理解度に差がなくなる可能性もあります。

電子書籍は集中しにくい

随筆文については差がみられなかったものの、説明的文章では電子書籍のほうがスピーディーに読めることがわかりました。

ページのめくりやすさや文字の鮮明さなど、電子書籍に特有の機能が読むスピードを高めているのかもしれません。

読みやすさについては、電子書籍と紙の本は同等の結果が得られています。しかし、スムーズに読める反面じっくり読めておらず、集中力が欠けている可能性もあります。

参考書や実用書など、スピード感を意識したい人には電子書籍がおすすめです。一方、じっくりと集中しながら読みたい人には紙の本が向いているでしょう。

電子書籍と睡眠の質に関する研究

アメリカ・ハーバード大学医学大学院(2015)によると、電子書籍によるブルーライトによって睡眠の質が低下する可能性が示唆されています。

12人の被験者を対象に、紙の本とiPadを使って就寝前の4時間に読書をしてもらいます。

期間は2週間で、紙の本とiPadによる読書はそれぞれ5日間ずつです。

結果として、iPadで読んでいた人は眠るまでにより時間がかかり、眠気を誘う役割を果たしているメラトニンの分泌量が減少していることがわかりました。

メラトニンの分泌は、ブルーライトによって抑制されます。さらに8時間寝ても起床後は眠気が残り、覚醒レベルが低下していました。

参考:E-Readers Foil Good Night’s Sleep

電子書籍は睡眠の質を低下させる

電子書籍を読むときに、スマートフォンやタブレットを使うとブルーライトを浴びてしまうことになりかねません。

記憶の定着には、良質な睡眠が必要不可欠ですが、ブルーライトは良質な睡眠を妨げてしまいます。ぐっすりと眠れない場合には記憶に残りにくい状態だと言えます。

電子書籍は記憶に残りにくい原因【研究以外】

紹介した研究以外にも、電子書籍は記憶に残りにくいと考えられる理由について紹介します。

アプリなどの通知が集中力を妨げる

Kindleなどの電子書籍専用端末を利用していれば、通知が来ないので問題ありません。

しかし、スマートフォンや通常のタブレットで電子書籍を読んでいると通知を受ける可能性があります。

読書に集中しているときに、通知が入ったら読書のモチベーションが低下しますよね。そして集中力が削がれ、記憶に残りにくい状態を引き起こします。

関係のないアプリを触ってしまう

スマートフォンやタブレットから電子書籍を読んでいると、ついついほかのアプリに触ってしまう恐れがあります。

アプリは通知も含め、ユーザーを巧みに誘惑するものです。うことは難しく、関係のないアプリを触ってしまうかもしれません。

そして、再び集中力を取り戻すのには時間がかかってしまうのです。

モチベーションを維持しにくい

電子書籍は、紙の本と比べて使用感や経年変化が発生しません。

一方で紙の本は、使えば使うほど劣化していきます。特に、書き込みのある本は顕著です。

本の書き込みや使用感によって、達成感を得られることがあります。しかし、電子書籍ではそうした成果が見えにくいというデメリットがあります。

モチベーションを維持できず低下してしまうと、パフォーマンスを発揮できません。そのため、記憶に残りにくい状態となってしまうでしょう。

慣れていない

近年は、学校でも電子書籍の活用が進んでいます。

一方で多くの人は電子書籍に慣れておらず、使いにくく感じている人もいるでしょう。電子書籍の使用感に対するストレスによって、記憶に悪影響を及ぼしている可能性もあります。

ブックライブ

電子書籍が記憶に残りにくい原因への対処法

電子書籍の内容は記憶に残りにくい原因について、解説してきました。

ここでは、それらの改善方法について考えてみたいと思います。

原因を正しく理解し、対処することで記憶に残りやすくなるでしょう。電子書籍をうまく活用できるよう、チェックしてみてください。

アプリなどの通知をオフにする

集中力を削ぐ原因の1つに、アプリの通知があります。

通知の設定はデバイスによって異なりますが、比較的簡単です。通知をオフにしておけば、突然集中力を削がれることがなくなります。

アプリを削除する

アプリの通知をオフにしたとしても、誘惑に抗えずついつい関係のないアプリを触ってしまうかもしれません。

そのため必要最低限のアプリのみを残し、ほかのアプリは削除することを検討してみてください。

専用のデバイスを使う

アプリを削除したり通知をオフにしたりするのが面倒な人は、読書専用のデバイスを使うことをおすすめします。

例えば、Kindle本の場合は、専用のKindle端末が発売されています。ブックマークやメモ機能など読書に特化した機能が豊富です。

また、Kindle端末は、紙のようなe-inkディスプレイや目にやさしいフロントライト方式を採用しています。

眠りを妨げるブルーライトの発光量が少なく、スマートフォンやタブレットのような通知もありません。

さらに、専用端末は読書にしか使えないことから気持ちの切り替えができるでしょう。読書のモチベーションを維持でき、記憶に残りやすくなる可能性もあります。

もちろんAmazonのKindle端末だけではなく、様々なデバイスが発売されているので検討してみてはいかがでしょうか。

就寝前は使用を控える

電子書籍をiPadで読む研究では、睡眠の質が下がることがわかりました。そのため、就寝前はブルーライトを浴びないことが重要です。

スマートフォンやタブレットにブルーライトカットを施していても、少なからず影響はあるでしょう。電子書籍を読む時間を決めて、就寝前は控えることをおすすめします。

それでも就寝前に読書したい人は、目に優しい専用端末や電子書籍に特化したKindleなどの電子書籍リーダーを利用してみてください。

電子書籍に慣れる

これから誕生するデジタルネイティブにとっては、電子書籍が当たり前のものになるかもしれません。

紙の本を使ってきた人は、電子書籍に慣れていないことから記憶に残りにくい状態になっていることも考えられます。

そのため、実際に電子書籍を使ってみて慣れていくことが大切です。慣れれば記憶に残りやすくなるでしょう。

紙の本と比較してみて、記憶に残りやすいと感じた媒体で学習することをおすすめします。

スクリーンショット機能を使う

スマートフォンやタブレットのスクリーンショット機能を使えば、好きなページを保存できます。

紙の本でもしおりを挟めば後から参照できますが、復習に抵抗感がある人には不便です。

日頃からスマートフォンなどをよく使う人は、写真アプリに専用のフォルダを作るなどして参照しやすくしておくことを推奨します。復習用のフォルダを作り、効率を高めてみてください。

まとめ

この記事では、電子書籍は記憶に残りにくい原因や対処法について解説してきました。

電子書籍は記憶に残りにくいと言われているものの、工夫次第で対処できます。紙の本とうまく併用しつつ、積極的に活用してみてください。

こちらの記事では、電子書籍とは?電子書籍の基礎知識と始め方をまとめているので、電子書籍に興味のある人はぜひ参考にしましょう。

ヒロキタナカ /
ビギナーズ編集部 tanaka

大学院を修了後、IT業界を経て独立。選書サービスやWebメディアを運営する傍ら、ライターとしても活動しています。趣味は読書やサウナです。

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