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「成瀬巳喜男監督」映画名作5選

「成瀬巳喜男監督」映画名作5選

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本記事では、U-NEXTで特集されている成瀬巳喜男監督の映画をご紹介します。

成瀬巳喜男監督は、黒澤明や小津安二郎らとともに日本映画の黄金時代を築いた名手ですが、その名は意外にもあまり知られていないようです。

一介の主婦から置屋の芸妓、銀座のマダムに至るまで、様々な環境でひたむきに生きる女性を描くことを得意とし、派手さはなくとも深みのある滋養映画を多く残した成瀬監督。

“映画人が選ぶオールタイムベストテン”で常に上位に君臨する「浮雲」や、スター女優の競演が眩しい「流れる」など、数ある名作の中でも特に見応えのある5本を挙げました。

日本映画の至宝をこの機会にぜひ堪能してみてください。

『めし』

あらすじ

周囲の反対を押し切り、大恋愛で結婚した三千代だったが、5年の歳月がたち、代わり映えのない毎日と顔を見れば「めし」としか言わない夫に虚しさを感じ始めていた。

そんなある日、姪の里子が東京から家出をして転がりこんでくる。

家事に忙しい三千代を尻目に、自由奔放にふるまう里子。そんな里子に甘い顔を見せてばかりの初之輔。

三千代の苛立ちはさらに募り、とうとう里子を東京へ送るついでに自分も東京に留まることを決意する。

小津安二郎のミューズ、原節子が演じる市井の主婦像に注目

原節子といえば、美しく可憐で品性に満ちた誰もがうっとり憧れる「永遠の処女」です。

特に小津安二郎監督作品において、母から娘、妻役と幅広いライフステージの女性を演じ分けたことでも知られています。

ところがこの「めし」では、生活に疲れ、夫に幻滅したリアルな主婦像を演じており、これまでの気高く美麗なイメージを払拭してしまいました。その意味でも観る価値のある一本といえるでしょう。

原作者である林芙美子が執筆中に急逝したため、結末は製作側に託され生み出されたもの。

これには賛否両論あるようですが、年を重ねて何度も見ると自分の意見も変わるので、10年に一回は観たい傑作です。

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『山の音』

あらすじ

戦後間もない鎌倉で息子夫婦と同居する信吾は、息子の修一が外で女を作り、嫁の菊子に辛く当たるのを不憫に思っていた。

ある日、娘の房子が夫と喧嘩になり、二人の子どもを連れて家出をしてくる。

しかし、信吾が菊子を可愛がっているのが気に入らず、信州の実家へと去っていった。

修一はそんな房子を迎えにいくが、その留守中に信吾は会社の秘書に修一の浮気相手、絹子について尋ね家を訪れる。

奥ゆかしく控えめで、ひたすら耐える日本女性の典型がここに

戦後日本文学の最高峰と評された、川端康成の同名小説を映画化。

鎌倉の山奥で鳴り響く音を死期の前触れと怖れるひとりの男と、彼をとりまく家族模様を描いた趣のある一作です。

冷徹で不義な夫にひらすら尽くし、自らの幸せをも放棄してしまう妻に、またしても原節子が扮しています。そんな彼女を優しくかばいながら淡い想いを抱く舅の、男心の悩ましさに共感する男性は多いことでしょう。

男女の、夫婦の、家族の間をひそかに流れる情愛が全編にわたって染み渡る逸品です。

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『浮雲』

あらすじ

農林省のタイピストとしてベトナムに渡ったゆき子は、現地で富岡と知り合う。

富岡には日本に残した妻がいたが、二人は関係を結んでしまう。終戦後、富岡は離婚してゆき子と一緒になると誓い帰国した。

ところが、富岡は妻と別れられずにいた。ゆき子は米兵の情婦となり生計を立てていたが、二人はまたしても不倫関係に落ち、伊香保温泉へ旅行に出る。

しかし、富岡は旅先で出会った飲み屋の主人の女房お清とも関係を持ってしまう。

成瀬作品を世に知らしめた、後世に語り継がれるNo.1の日本映画

戦中戦後を通してもつれあう男女の関係をじっくり描いた成瀬監督の集大成。

初々しい少女のような表情から、次第に愛に溺れた女へと様変わりしてゆく、ゆき子を演じた高峰秀子にとっても生涯の代表作となりました。

激しく移り変わる戦後を背景に、いつまでも形を変えずにぽっかり浮かぶ浮雲と、導かれるようにズルズル続く二人の愛が重なってみえます。

何はともあれ、まだ成瀬作品を見たことがないという人へ、最初におすすめするなら間違いなく本作です。

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『流れる』

あらすじ

下町の芸者置屋つたの家には、主のつた奴と妹の米子、長女の勝代が暮らしている。

他にも若芸者のなな子やなみ江、通い芸者の染香もいた。そんな置屋にある日、紹介所から派遣された梨花が女中として住み込むことに。

ある日、なみ江が稼ぎの取り分に文句をつけ家を飛び出し、それを聞いた叔父が激怒してつたの家に乗り込み金をせびり始めた。

借金で首が回らないつた奴は、料理屋の女将お浜に相談するが…

消滅しつつある花街の行方を丁寧に描くオールスター総出演作品

山田五十鈴、田中絹代、杉村春子、岡田茉莉子、そして高峰秀子。

これだけのスター女優を拝むだけでも見ていて心踊る一作ではありますが、その華々しさとは裏腹に彼女たちが生きる芸者置屋は少しずつ活気がなくなりつつあります。

1957年に売春防止法が制定されてから、多くの芸者屋や待合茶屋などがその憂き目に遭いました。

本作の公開はその前年の1956年。これから過酷な試練が訪れるとはつゆ知らず、酒に酔いおどける芸者、真面目に稽古をする見習いの姿などがかえって物悲しく映ります。

成瀬作品の中では筆者一押しの作品です。

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『女が階段を上る時』

あらすじ

銀座のバーで雇われマダムとして働く未亡人の圭子。頑なにパトロンを持たないため、店の売り上げは下がるばかりだ。

ある日、店をやめたユリに得意客を奪われていたことがわかり、マスターから体を張って取り戻せと言われる。

実業家の郷田が店を持つための資金提供を申し出るが、圭子は誘いに乗らず、上客たちから出資を募ることにする。

密かに心惹かれていた銀行支店長の藤崎の元へも出向くが、保身的な態度をとる彼に失望する。そんな中、常連で工場主の関根だけが圭子の寄る辺となる。

男に媚びて生きるより、女を生かし謳歌する現代へと繋がる佳作

未婚でバー勤めの女となれば、パトロンの一人でも抱えて派手な暮らしを望めそうなものだが、主人公の圭子は違う。夜の仕事に身を落としても矜持をもって客に接する堂々たる女性だ。

しかし反面、生活はむろん苦しい。言い寄ってくる男どもに足元をすくわれながらも、最後に頼れるのはやはり自分だけと言わんばかりにバーへ出勤する。

階段を上る時、彼女の後ろ姿にはそんな覚悟がにじみ出る。艶やかな着物姿で大人の色気たっぷりの高峰秀子に、終始見とれっぱなしの111分です。

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三浦 絵里子 /
ビギナーズ編集部 miura

映画配給会社に5年、TV局の映画海外セールスとして4年ほど勤務。現在はフリーで映画の宣伝プロデュースやSNS戦略、海外映画のプレスやインタビューの翻訳などを行う。自然美容と小鳥をこよなく愛するアラフォー。

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