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家庭菜園のナスの育て方を初心者向けに解説|おすすめ品種も紹介

万能野菜であるナスは育てやすい人気の野菜で失敗も少なく、これから家庭菜園を始める初心者におすすめです。
ナスは育てる過程や収穫時が楽しく、収穫後に料理して味わえます。夏から秋にかけて長い間収穫を楽しめるので、ポイントを押さえて育ててみましょう。
目次
ナスを育てるメリットは?

ナスは色々な料理に合い、和食やイタリアン、中華と、便利な万能野菜です。ナスの紫色には、ポリフェノールであるアントシアニン系色素「ナスニン」が含まれていて、栄養価も高いです。
ナスはお料理にも使いやすいですが、家庭菜園初心者の方でも楽しく育てられる野菜でもあります。
上手に育てれば、夏から秋にかけて何回も収穫が楽しめるので、初めての家庭菜園で始める野菜にぴったりです。是非トライしてみましょう。
家庭菜園でのナスの育て方の基礎知識

初心者向けにポイントを押さえて、家庭菜園のプランターでのナス栽培の基本をまとめました。
- 発芽適温:20~30℃
- 生育適温:昼23~28℃、夜間16~20℃
- 環境:日当たりと風通しの良い環境で、水分のある土壌を好む
- 土壌のpH:6.0~6.8
- 植える時季:4月下旬~5月中旬頃
- 収穫時期:開花から平均で15~30日程
参考:土壌分析「みらい蔵」
ナスを植える時季
ナスの植え付けは、生育に必要な気温が確保できる4月下旬~5月中旬頃に行います。ナスは寒さが苦手なので、急な気温変化で苗に寒気が当たると、葉が傷んだり、枯れてしまいます。
生育に妨げになる時季は避け、気温が安定した5月のゴールデン・ウィーク頃が確実です。
ナスの収穫時期
ナスは、開花して実が生るまで品種によって異なりますが、一般的な中長(ちゅうなが)ナスは、開花から平均で15~30日程で収穫できます。あまり大きくなり過ぎると後半に株が疲れてしまうので、目安のサイズより小さめで収穫しましょう。
家庭菜園でのナスの育て方

初めてナスを育てる方には、プランターや鉢を利用した容器栽培がおすすめです。
畑のように土を耕す必要も無いですし、容器栽培であれば、天候や日当たりに合わせて場所の移動が可能です。植え付けや収穫まで管理し易いのもポイントです。
ナスの育て方はこのようなステップで進めていきます。
- 土台を作る
- ナスの苗を植える
- 水やり・肥料などお手入れをする
- 害虫対策をする
- 摘果する
それぞれ解説していきます。
土台作り
- 古い土は避ける
- プランターの底が見えなくなるまで全体に鉢底石を敷く
- プランターの縁から2~3cm程下まで培養土を敷き詰め、全体的に平らにならす
できれば、古い土は避けましょう。理由としては、野菜を育てる上での土の良い微生物が少なく、病原菌が増え易く、土壌病害が発生するためです。
準備したプランターに底が見えなくなるよう、全体に鉢底石を敷きます。その上から培養土を入れ、プランターの縁から2~3cm程下まで土を敷き詰め、全体的に平らにします。
ナスの苗の植え方
- 株と株の間を30cm程度離す
- 根鉢がすっぽりと入るような穴を開け、たっぷりと水を入れる
- 浸み込んだ後に苗を置き、周りの土を被せる
- プランターの下からたっぷりと水が流れてくるまで水をかける
プランターには、株と株の間を30cm位離し、根鉢がすっぽりと入るような穴を開けます。掘った穴にたっぷりと水を入れて、浸み込んだ後に苗を置き、周りの土を被せ、植え付けます。その後、プランターの下からたっぷりと水が流れてくるまで水を掛けます。
ナスの苗を植え付ける時にたっぷりと水を与えることによって、根付く前でも水切れを起こし難くなり、植根を傷めずに根鉢の中で土と馴染みやすくなります。プランターの土が乾燥するとすぐに水切れを起こすので、1週間から2週間の間は、表面の土が乾燥していたら毎日水やりをしましょう。
日頃のお手入れ
ナスの栽培に必要な日頃のお手入れ方法をご紹介します。
- 1番花を人口受粉後、3本仕立て
- わき芽取りをする
- 肥料は2週間置きに
- 水やりはたっぷり
- 更新剪定をする
1番花を起点に3本仕立て
- 1番最初に咲いた花を人口受粉させる
- 花をつけた茎を主茎に支柱を立てる
- 脇枝2本を合わせて3本に仕立てにする
- 主茎が伸びたら麻ひもで軽く支柱と苗を結ぶ
苗を植えて1週間以上経ったら、1番最初に咲いた花を軽く指で弾き、人工授粉させます。この1番花を付けた茎を主茎として起点にし、支柱を立ててその側の脇枝2本を合わせて3本に仕立てます。主茎が伸びてきたら、麻ひもで軽く支柱と苗を結びます。
ひもの結び方を交差させればしっかりと固定されます。苗を傷つけないように緩く結び、支柱の方で結ぶようにしましょう。
わき芽取り
苗が成長し花が咲いてくる頃に新たにわき芽ができて、新しい茎が成長しますが、美味しいナスを実らすために、わき芽を取り除きます。
わき芽を取ることにより、ナスの実に養分が行くようになり美味しくなります。一番最初に咲いた花の下2つのわき芽以外は全部取り除きます。
わき芽は、下の節と伸びているわき芽から発生するので小さい内に摘みましょう。わき芽はどこの節から出るか分からないので、不要なわき芽を見つけたら摘むようにします。わき芽を取らずに放置すると、収穫量が減ります。
肥料は2週間置きに
- 1回目(苗植えから1ヶ月後)は株の周りに化成肥料を一握りほど追肥
- 2回目以降は、株元から離れた場所に
- 2週間置きの追肥を忘れそうな場合は、液体肥料を1週間に1回
ナスの苗を植えて1カ月程経ったら、2週間毎に1回の肥料を与えます。1回目は、株の周りに化成肥料を一握りほど追肥します。2回目以降は、株元から離れた場所に与えます。2週間置きの追肥を忘れそうな場合は、液体肥料がお薦めです。1週間に1回、曜日を決めて水遣りのように与えます。
ナスは肥料好きで、肥料切れを起こすと生育やナスの収穫に影響するので、追肥は忘れないようにしましょう。定期的に肥料をしていても肥料切れを起こすことがあります。肥料切れの状態が分かる方法として、雄しべが短い、花の色が薄いなど、全体的に元気が無い時が挙げられます。
肥料切れを起こすと、生育の状態が悪くなりナスの実が硬くなります。肥料切れのサインが出たら、即効性のある液肥を使うと良いでしょう。液肥が多過ぎると肥料やけを起こすので、肥料はきちんと規定通りの適量で使いましょう。
ナスには水をたっぷり
ナスの原産地はインドで、高温多湿を好みます。乾燥に弱いので、土が乾く前に水切れすることなく水を与えましょう。ただし、ずっと湿った状態でも根腐れが起きるので、葉っぱの状態を観察して葉がぐったりする前に水遣りをしましょう。葉がぐったりして株が弱ると、収穫に影響するので気を付けましょう。
ナスは午前中に光合成を行う為、水遣りは朝日が昇る前、又は夕方に行うようにしてください。夜の間に成長するので夕方がお薦めです。夏の昼の炎天下の水遣りは日差しで水温が上昇する為、根腐れになり易いので気を付けましょう。
水をしっかり与えていて、土が湿っているにも拘らず葉が萎れている場合は、土ではなく葉に水を与えてみてください。霧吹きで直接吹きかけることで、葉だけに水分を与える事ができます。葉に潤いが無くなり、乾燥すると害虫が付くので、小まめに水を遣りましょう。
更新剪定のやり方
ナスは基本的には、摘芯をすることにより繰り返し主枝と側枝から実が収穫できますが、7月下旬~8月上旬はどうしてもバテてしまい、生育が悪いために花や実が付きにくくなります。
そんな時は、更新剪定と根切りをし、株の周りを軽く10cm程掘って、追肥を行うことで株が蘇ります。
まだ実が付きそうな枝があっても、思いっきり半分程切り落として、枝を整理します。暑さが収まる秋頃には徐々に樹勢が回復して、枝葉が伸びて1か月頃から10月頃まで秋ナスを楽しむことができるでしょう。
害虫対策をしっかり
ナス栽培における失敗の原因が害虫被害で、特にアブラムシ、アザミウマ、ハダニには要注意です。葉の表裏に水を遣ったり、3本仕立てのように整枝をすることが、葉の乾燥を防ぎ、病害虫発生の予防になります。
野菜に使用しても大丈夫な、食品成分由来の薬剤などで対処しましょう。
- ナスが罹りやすい病気:うんどこ病、青枯病、萎凋病
- ナスを好む害虫:ハダニ、ホコリダニ、コナジラミ、テントウムシダマシ、ナスノミハムシ
摘果すること
一番最初になったナスを一番果といい、大きくなる前に一番果を取り除くことを摘果といいます。摘果することで栄養分がナスの茎に行き届き、他の実が大きく成長します。一番果を取り除く方法が通常ですが、苗が弱っていたりする場合は、実に生る前の花の状態で摘花しましょう。
ナスの収穫時期の見分け方
ナスの花が咲いてから25~30日程で、手のひらサイズの大きさになったら、一般的なナスは収穫ができます。
収穫の目安としては、
- 中長ナス:全長10~15cm
- 長ナス:全長17~30cm
- 丸ナス:直径10cm
収穫どきのナスの見分け方としては、ヘタの下に色がまだ付いておらず、勢いよく肥大して、果皮がツヤツヤしてハリのある状態が収穫できるポイントです。又、苗の商品タグは保管しておき、苗に付いているタグに記載されているサイズが収穫の目安になります。
収穫が遅くなると皮の艶が無く、色がくすみ果肉が硬くなります。食べても種があり、口当たりも悪くなります。収穫が遅いと株への負担がかかるので、早めに収穫するようにしましょう。
プランターでのナス栽培で必要なもの

ナスは、初心者で庭が無くてもプランターで育てることができる野菜です。苗を使えば、比較的簡単に育てることができ、準備するものも他のプランタ―栽培の野菜と共通です。
ナスの苗
ナスの良い苗を選ぶポイントとして、以下のものが挙げられます。
- 本葉が7~9枚以上ついている
- 葉に厚みがあり、色が濃く、茎が太い
- 全体的にがっしりしている
- 節と節の間が詰まっている
- 葉や茎に傷がついていない
- 病害虫の痕跡がない
プランター
園芸店で販売している、深い30L程の深型菜園プランターを用意します。このとき、プラスチック製で安価なものは割れたり湾曲することもあるって劣化が早いので避け、耐久性のあるプランターを選ぶようにしましょう。
ナスはよく根を広げ、成長スピードが速く根量が多いので、小さいプランターでは根詰まりを起こします。生育不良にならないためにも、出来るだけ大きなプランターを選びましょう。鉢底石を使う場合は、排水版が付いているプランターは不要です。
プランター用の土や石
プランターで利用する土には、市販の野菜用培養土を使用します。野菜用にバランス良く調整されているので、初心者の方にはおすすめです。
裏にナスと記載されているものを選びましょう。また、水はけを良くする鉢底石を準備します。
家庭菜園での道具
ナス栽培でのじょうろには、噴射口が細かくハス口になっているものを選びましょう。園芸用のシャベルには、剣スコという、先が尖ったタイプのものを選ぶと柄が握りやすく、使いやすいので便利です。
ハサミは園芸用のガーデニング用のハサミではなく、硬くしっかりした枝や茎がよく切れるので、剪定ばさみがおススメです。
▼ハス口じょうろ
▼剣スコ
▼剪定ハサミ
支柱や麻ひも
ナス栽培で枝を整えるのに必要なのが、支柱と麻ひも、又はビニールひもです。ナスの茎を支柱に留めて、実の重みで茎が折れないように支柱と麻ひもで支えます。
支柱をしっかり立てることにより、安定してナスが育ちます。支柱には、太さ11~16mm程度で長さ120~150cmのものを用意し、ひもはビニールでもOKです。
家庭菜園のナスの品種

ナスの種類は大変多く、日本だけでも180種類以上、海外でも色、サイズ、形が違い、様々な種類のナスがあります。ナスの栽培に慣れてきたら、珍しいナスにチャレンジしてみましょう。
中長ナス
中長(ちゅうなが)ナスはスーパーでよく売られているナスで、初心者でも栽培しやすく、味も良いので家庭菜園に向いています。中長ナスは12~15cm程のサイズで、長卵形ナスと呼ばれている種類になります。
プランターでも育てやすく、高温を好み、耐暑性があるので夏は元気に育ち、秋ナスが美味しいと言われていますが、夏にたくさん収穫ができます。
うす皮味丸
うす皮味丸は、一般的な丸ナスに比べ皮が薄く、柔らかい果肉の小型のナスで、漬物に適した丸ナスです。初心者でも形が崩れにくく、形の良いナスができます。育てるポイントとしては、低温には弱いので日当たりの良い場所で育て、日照不足にならないように注意しましょう。
収穫は、株の負担を軽減する為にも、8月後半からは早めに行うように心掛けると、多く収穫が楽しめます。収穫が遅れると丸ナスの良さが消えるので、しっかり管理しましょう。
飛天長
初心者が育てるにはぴったりのナスで、丈夫で育てやすい品質なのが特長です。暑さにもとても強く、夏から秋にかけて長い期間収穫を楽しめます。収穫時期になると20cm以上の長さになり、ずっしりと重いしっかりとした実が生ります。
収穫適期として、早朝に収穫するようにすると、品質の良いナスが最後まで収穫できます。飛天長は色が美しく、皮は柔らかく果肉も甘く、どんな料理にも合います。
竜馬
竜馬(りょうま)は、超優秀品種として有名で生育も良く、早く収穫ができ、家庭菜園でも人気のナスでおすすめの品種です。
筑陽
九州地方の品種の筑陽は生育が非常に良く、長い期間収穫ができ、栽培後半でも株が疲れにくいので優秀な品種です。又、初心者であっても太長の形が揃ったナスが収穫できます。色はツヤがあり黒紫色をしているので漬物に最適です。
くろぷり(R)
くろぷりのナスの実はツヤが良く、綺麗で実が付きやすい品種です。地域により、温度差や天候により異なりますが、収穫の目安は約10~15cm程で、早どりをすることで長い期間にわたって収穫が楽しめます。
くろぷりは、果実の長さが10cmを超えてきた13cm程で収穫をすることにより、株を疲れさせないので、早どりをお薦めします。
家庭菜園でナスを育ててみよう
夏から秋にかけて栽培が楽しめるナス。日当たりが良く涼しい場所で育ててみてくださいね。たっぷりの水やりもお忘れなく!
新鮮な野菜を食べるには、野菜宅配サービスを利用することもおすすめです。こちらの記事ではおすすめの野菜宅配サービスをご紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

ビギナーズ 編集部 /
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