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きれいな星空を撮影しよう!マニュアル設定の方法やコツを解説
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美しく撮影された星空の写真は、多くの人の目を惹き付けます。しかし、普通にオートでカメラを向けただけでは星空を目の当たりにした感動をそのまま写し取ることはできません。星空撮影には予備知識が必要なのです。
この記事では星空撮影に適した条件やマニュアルの基本的な設定の仕方等、星空を撮影するポイントをお伝えします。カメラ上級者でなくても星は撮影できます。撮影するパターンを身に付けて、簡単に美しい星空を撮影してみましょう!
星空撮影に適した条件を知ろう
「よし、星空を撮影しよう」とカメラを手に外に出ても、肉眼で星が見えなければ撮影はできません。より美しい写真を残すために、天気や場所など星空撮影に適した条件を見ていきます。
星空が見える晴れた日
どんよりと曇っている日は肉眼でも星が見えにくく撮影が難しくなります。星空撮影をしたいと思ったら、晴れた日を狙わなければなりません。まずは天気予報の確認から始めましょう。
しかし注意しなければならないのは、天気予報の晴れマークはあくまでも全体の雲の量が80%以下であって、雲の量がゼロではないことです。そのため雲量がわかるサイトやアプリで事前に調べる必要があります。
星空撮影をしている人によく知られているサイトに、「GPV気象予報」や「SCW天気予報」があります。時間単位で雲量の予測ができるので、大変便利です。
GPV気象予報は無料です。SCW天気予報は基本的に無料で使用できますが、雲形や予想表示等の機能は有料会員向けとなっています。SCWの方がGPV気象予報よりも局地的な情報を得られるので、星空撮影や空を撮影するプロ向けといえるでしょう。
星空撮影は天候に左右されますが、事前に準備をすることで撮影のコンディションを整えることが可能です。
できるだけ余計な光がない場所
雲のない晴れた日でも、場所が悪ければ美しく撮影できません。星よりも明るい光に囲まれていれば、星の儚い光は隠れてしまいます。
そのため半月以上の月が出ていたり、都市部の光害と呼ばれる余計な光が出ている所は、星空撮影には適しません。
練習のために、近くの公園で撮影することも大切です。しかし本格的に星空を撮影してみたいのなら、月の出ていない夜に高原や山中で撮影するのがよいでしょう。
新月の期間や光害の少ない場所は、サイトやアプリでチェックすることができます。月の満ち欠けに関する情報なら「Diana」が便利です。
また、遠方まで出かけての撮影が可能ならば、事前に「天体観測、星見スポット、光害マップ」で光害について情報を得ておくとよいでしょう。
空気が澄んだ高所がベスト
湿気で空気が霞んだ空は星空撮影には適しません。空気が澄んだ場所が最適なのですが、標高1,000m以上の山や高原を目安にするとよいでしょう。
また秋から冬にかけて、空気が澄み空が綺麗に見えます。ある程度標高が低くてもよい写真が撮れるので、近場の山等に出かけてみてもよいかもしれません。天体観測や星空を観るために人が集まるスポットをいくつか紹介します。
- スタービレッジ阿智(長野県)
- 波照間島星空観測タワー(沖縄県)
- 久住高原(大分県)
- 国立天文台野辺山(長野県)
- 姫沼(北海道)
- 南牧村野辺山高原(長野県)
星空撮影はマニュアル設定が基本である
予備知識無しにオートで写真撮影しても星空を美しく撮影することはできません。星空撮影はマニュアル設定が基本です。ここではマニュアル設定の仕方を見ていきます。
手ブレ補正はオフにしておこう
シャッターが開いている内にカメラが動くと写真の輪郭がずれたり重なったり、ぼやけて写ったりすることがあります。これがブレです。様々なカメラの機種がこのブレを補正するための手ブレ補正機能を装備しています。
しかし星空撮影にこの手ブレ補正機能はあまり向いていません。実際に撮影していると、手ブレ補正機能を使っているにも関わらずブレてしまうのです。
その理由が三脚です。基本的にカメラに備わっている手ブレ補正機能は手の揺れを補正するように設計されています。そして三脚の振動による揺れ方は手のブレ方とは異なるので、カメラが誤作動をしてしまうのです。
星空撮影で三脚にカメラを乗せて撮影するときは、手ブレ補正はオフにしましょう。
露出はマニュアルで設定しよう
露出とはカメラの撮像素子を調整して、明るさを調整することです。暗い場所でも明るめの写真を撮ったり、その逆に明るい場所で暗めの写真を撮ることも可能です。夜空の星の光は非常に弱いです。そのためデジカメのオート露出では光を捉えられず、うまく撮れないことがあります。オートフォーカス機能をオフにして、マニュアルで露出を設定しましょう。
写真の明るさを変更して適正露出にするには、「絞り値」「シャッタースピード」「ISO感度」を撮影前に変える必要があります。星空撮影初心者の場合は、どの数値から始めたらよいのか分からないかもしれません。目安を以下にまとめておきます。あくまで参考にして、自分で微調整してください。
- 絞り(F値):F1.4~F4.0程度
- シャッタースピード(S.S):15~30秒程度
- ISO感度:1,600~3,200程度
ピントもマニュアルで液晶画面を活用しよう
星空撮影で最難関とも言えるのが、ピント合わせです。オートフォーカスで星に焦点を当てられれば簡単なのですが、星は点光源の上、暗過ぎるのでオートフォーカスできないことが多いのです。
ピントをマニュアルに切り替え、無限遠の位置から液晶画面上で合わせなければなりません。夕方でまだ明るかったり、街灯や月が出ているのならばピントは比較的合わせやすいです。
目視できる山や月のような目標物を使ってピントを合わせ、マニュアルフォーカスに切り替えます。その際にフォーカスリングをテープで固定してしまいます。機種によっては電源をオフにしたときにピントが元に戻ってしまうものもあるので注意が必要です。
他にライブビューでピントを合わせたり、実際に試し撮りをしながらピントを合わせる方法もあります。
絞り値は開放付近が基本
絞りを開くとレンズを通る光量が増え、逆に絞ると光量が減ります。また絞りはピントにも影響を与えます。絞りを開くとぼけやすくなり、絞るとぼけにくくなります。
星空は暗い場所で微かな点光源を捉えなければならないので、絞り値は解放で撮影することが基本です。絞り開放のF1.4やF2.8で撮影を始め、ぼけたり画質が乱れるようならば1段ずつ絞りながらF4.0辺りまで調整するとよいでしょう。
また月と地上の風景の両方を写真に収めたい場合には多少絞り込む必要が出てきます。F11からF16の辺りまで絞った方が風景も月もシャープな印象で撮影することができます。
シャッター速度は遅い程星が線になる
シャッター速度の速さを変えると写真の雰囲気がグンと変わります。星空の写真の中にはわざと星を点で捉えずに線で捉えている写真があります。あれはシャッター速度を遅くして撮影したものです。
シャッター速度を速くすると星や月は点の形に写ります。逆に遅くすると動いている星の軌跡が線状となって写ります。またシャッター速度を遅くすると露光時間が長くなるので、明るく撮影することが可能です。
では星が線状にならないようなシャッター時間はどのように計算したらよいのかと言うと、写真家のDave Morrowさんの提唱する「500ルール」というものがあります。計算式は「500÷レンズの焦点距離(フルサイズ換算)=上限露出時間(秒)」です。
もっと簡単に星を点として撮影できるシャッター速度が知りたいのならば、15秒~30秒の間で調整すると覚えておくとよいでしょう。
ISO感度は臨機応変に調整しよう
ISO感度とは光に対する感度の良さを示す数値です。ISO感度を高くする程明るく撮影できるのですが、同時にノイズ量が増えてしまいます。撮影する際には画像を確認しながら、自分の機材に合った感度を探さなければなりません。
画像が荒くならないようにISO感度を抑えれば星が写り込まない真っ暗な写真となり、逆にISO感度を上げ過ぎると星が写っても画像が荒くなります。そこは臨機応変に機種に合った対応をしてください。
一般的に夜空の撮影で使われるISO感度は1,600~3,200程度といわれています。
星空撮影する上でのポイント
星空撮影には「これが無ければうまく撮れない」というポイントがあります。ポイントを押さえ事前準備をすることで、撮影の失敗を少しでも減らしましょう。
綺麗に撮りたいなら三脚は必須
星空の写真を撮るためにはシャッター速度を15秒~30秒程度に遅くする必要があります。そのため必要になるのが三脚です。山や高原で撮影することもあるかもしれないので、風が吹いてもぐら付かないレベルの三脚を用意した方がよいでしょう。3,000円程度のファミリー三脚よりは、7,000~15,000円位のアルミ製のものがお薦めです。
また同様に雲台(三脚とカメラの間で、カメラの向きを変える役割を果たしている装置)も固定力の強いものを選んだ方がよいです。
レンズは明るく広角なものが適している
星空を綺麗に撮るにはマニュアルで露出を設定します。絞り値を低く設定し、ISO感度を抑えてノイズを少なくするとよい写真が撮れるのですが、レンズもF値が低くできるだけ明るいレンズを選ぶ必要があります。
明るいレンズがどのようなものかわからない場合には、F2.8以下のものを選ぶとよいでしょう。また、風景や人物と共に星空を撮影するには、画角の広いレンズの方が扱いやすいです。
高価なレンズ程収差や歪みが少なくなるので、お財布事情を考えながらレンズを選んでください。
編集予定ならRAWモードで撮影しよう
一般的な写真の記録方式には、JPEGとRAWの2種類があります。JPEGを何となく使っている人が多いかもしれませんが、もし撮影後に編集を予定しているのであれば、RAWファイルでの撮影が適しています。実はJPEGは撮影後に扱い易いように加工されているファイルです。パソコンで確認をしたり、お店で出力することができます。
それに対してRAWは英語でRAWが生(なま)であることを表すように、カメラの中で調整や圧縮を行っていない生データなのです。そのためJPEGよりも多くの色情報や諧調情報を持っています。撮影後に「もっと明るく編集したい」と思ったら、より編集の自由度が高いのがRAWモードです。しかし扱いにくく編集に専用ソフトが必要です。
マナーを守って撮影しよう
見知らぬ人と一緒にいても気持ち良く過ごすためには、マナーを守ることが大切です。人気スポットであれば撮影に来る人も多く、光害となる明るいスマホや懐中電灯等の使用は避けましょう。
明るい光を使用しないこと、使用しなければいけない状態ならば、比較的影響が薄い赤いライトを使用すること、騒がないこと、これらのルールを守って星空撮影を行いましょう。
星空撮影に役立つアイテムを持って行こう
星空撮影に必要なグッズからあったら便利なものまで、役立つアイテムを紹介します。ここでは赤色ライト、レンズヒーター、ポータブル赤道儀の3つを見ていきましょう。
低照度の赤色ライト
シャッター速度を遅くして撮影する星空撮影では、わずかな光でも写真に影響してしまいます。ヘッドライトや車のハイビームはもちろんのこと、スマホの明かり等にも気を配らなければなりません。しかし暗い夜道を、ライト無しで移動するのは危険です。マナーと安全を両立するためには、赤いライトを使用しましょう。
赤いライトは天体観測をする人達の間では昔から利用されてきました。通常よりも暗めのライトで、暗順応にあまり影響しません。赤いセロファンをライトに貼ることによって自作することも可能です。
また方角を確認するためのコンパスの購入を考えているのならば、こちらも赤色ライトのものがお薦めです。
レンズの曇りを防ぐレンズヒーター
山や高所で星空撮影をすることが多く、そのような場所は気温が下がります。「さあ、撮影を始めよう」というときに、レンズが曇ってしまって撮影できなくなることも少なくありません。
冬場のレンズの凍結や霜、夏場の凍結といったレンズの曇りを防ぐため、レンズヒーターを持っていると便利です。価格帯も2,000円前後なので、手軽に購入することができるでしょう。
ワンランク上の撮影ができるポータブル赤道儀
もし長い露出をしたまま星を点で捉えたいのならば、ポータブル赤道儀を使いましょう。星は日周運動をして動いています。シャッター速度を遅くして撮影すると、星は点ではなく線となって描かれます。
赤道儀は星の日周運動を追尾する手助けをしてくれる道具です。星の動きと同じ速度で赤道儀が回転してくれるので、長い露出が可能となってISO感度を下げても綺麗な点光源として星を撮影できます。
星空撮影に慣れてきたら赤道儀を使ってみましょう。星空撮影の世界がぐっと広がります。
基本を理解して星空を撮影しに行こう
オートフォーカスでカメラを夜空に向けただけでは、星空撮影をすることは難しいかもしれません。しかし、「プロじゃないし」「難しそう」と諦めることはありません。
ほんの少しコツを掴んでマニュアルフォーカスの設定を覚えられれば、初心者でも星空を綺麗に写すことができるのです。星空撮影の基本を理解して、カメラを片手に星空を撮影しに出てみましょう。
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ビギナーズ 編集部 /
ビギナーズ編集部 ライター
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