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サックスの表面仕上げを解説|ラッカーやメッキで音色や吹奏感が変わる

サックスの表面仕上げを解説|ラッカーやメッキで音色や吹奏感が変わる

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「見た目も音色も、周りと差を付けたい!」というサックス奏者におすすめなのが、サックスの表面仕上げ。

わずか数ミクロンの素材の違いが、音色や吹奏感(吹き心地)に大きな変化を与えます。

今回は、サックスの表面仕上げの種類や、音色や吹奏感の特徴についてまとめてみました。

サックスの素材

そもそも、サックスは何から作られているのでしょうか。

まずは素材から確認していきましょう。

サックスで多く使われるのは真鍮

サックスで主に使われているのは真鍮(しんちゅう)です。

真鍮は銅合金の一種で、ブラスと呼ばれることもあります。

「ブラスバンド」とも言われるように、サックスの他にもトランペットやトロンボーンなど、多くの楽器に使われています。

真鍮の種類

真鍮は、銅と亜鉛の合金で、亜鉛が20%以上のものを指します。

サックスなどの楽器に使われることが多いのは、銅70%亜鉛30%のイエローブラス。パーン!と明るくて張りがある音色です。

銅85%亜鉛15%のゴールドブラスが使われることがあります。

一般的に、銅の割合が増えるほど、温かみのある豊かな音色になると言われています。

表面仕上げの種類と、音色や吹奏感の特徴

サックスについてわかったところで、表面仕上げについて見ていきましょう。

主な表面仕上げの種類と、音色や吹奏感の特徴についてもまとめてみました。

表面仕上げの種類

楽器全体にとって、表面仕上げの物理的な割合はわずか数ミクロンです。

しかし、金属の種類によって振動の伝わり具合が違うので、コーティングの僅かな違いでも音色や吹奏感に差が生まれます。

サックスによく使われる表面仕上げには、どんなものがあるのでしょうか。

ラッカー仕上げ

ラッカーとは、塗料の一種。

無色のものや着色されたものがあります。

サックスの主な素材である真鍮は、そのままだと変色やサビが発生しやすい素材です。

ラッカー仕上げにすることによって、耐久性が高まりお手入れもしやすくなります。

逆に、あえてラッカー仕上げをしないノーラッカー(アンラッカー)仕上げもあります。

メッキ仕上げ

メッキ仕上げは、材料の表面を金属の薄い膜で覆います。

ラッカーよりも素材が厚くなるため、音もラッカー仕上げより厚みが出ます。

その一方で、息の量はラッカー仕上げより多く必要なので、息の量が多い方や上級者向け。

サックスには、金メッキ、銀メッキ、ピンクゴールドメッキなどが使われます。

もちろんメッキ仕上げの面積が大きいほど、金額もアップします。

表面仕上げによる、音色や吹奏感の違い

クリアラッカー仕上げ

楽器を無色のラッカーで仕上げるのがクリアラッカー仕上げ。

薄黄色など、真鍮の色がそのまま出ます。

最も一般的な仕上げで、艷やかでバランスの良い音色が出ます。

息が入れやすく、初心者や久しぶりに吹く方におすすめです。

ゴールドラッカー仕上げ

金色のラッカーで仕上げると、ゴールドラッカー仕上げになります。

素材はクリアラッカーと同じで色が違うだけなので、金メッキとは違います。

音色や吹奏感はクリアラッカーに近く、少しシャープな音です。

ブラックラッカー仕上げ

ブラックラッカー仕上げは、黒いラッカーを吹き付けて仕上げます。

キイだけクリアラッカーやゴールドラッカーで仕上げたツートンカラーの楽器は、インパクト抜群!

音色は、暗めで輪郭がはっきりした華やかな音になります。

サテン仕上げ

ツヤを消してマットに仕上げたものは、サテン仕上げと呼ばれます。

音に渋みがあり、ビンテージサウンドが好きな方におすすめ。

サテン仕上げにラッカーを吹き付けると、サテンラッカー仕上げになります。

ノーラッカー/アンラッカー仕上げ

ラッカーやメッキ加工を施さない場合は、ノーラッカー仕上げやアンラッカー仕上げになります。

音色は、華やかというよりは落ち着いた渋い感じです。

真鍮は変色やサビが発生しやすいので、とにかく手入れが大変!

既にメインの楽器を持っている人が、2本目に選ぶことが多いようです。

銀メッキ仕上げ(シルバープレート)

ラッカー仕上げよりも塗装に厚みがあるとは言え、金メッキよりも吹きやすく感じる方が多いのが銀メッキ。

トランペットやユーフォニアムではよく見かけますが、サックスでは珍しいですよね。

クリアで丸みや深みがある、個性的な音色で人気があります。

金メッキ仕上げ(ゴールドプレート)

同じ金色でも、ゴールドラッカーとは一線を画する金メッキ仕上げ。

華やかで芯のあるハッキリとした音には、一流のソリストにふさわしい品格があります。

一方で、息の量はかなり必要なので、上級者や息の量に自信がある方におすすめです。

ピンクゴールド仕上げ

ピンクゴールド仕上げの色は、金に銅を混ぜて作られます。

基本的には金メッキの配合を変えたものなので、音色や吹奏感は金メッキに近く、艶のある華やかな響きが特徴です。

クラシックでの使用ももちろんOK!

高級感と華やかさがたまらない仕上がりになっています。

プラチナメッキ

金額的には金メッキを超えた最高峰のプラチナメッキ。

キンキン感のない、落ち着いた心地良い音色を楽しめます。

大きな音を出すにはたくさんの息が必要です。

ブラックニッケルメッキ仕上げ

ニッケルにスズを混ぜた合金で仕上げたのが、ブラックニッケルメッキ仕上げです。

硬くて鋭い音色が見た目にもぴったり。

クラシックにはあまり向かないかもしれませんが、ロックなどハードで格好いい音楽には間違いなく映えますよ。

表面仕上げによる違いを実感する方法

音色や吹奏感の違いを文字で説明するのには限界があります。

表面仕上げによる違いを実感するなら、実際に自分で演奏してみるしかありません。

試奏できる楽器店も多いので、直接依頼してみましょう。

ただし、表面仕上げの種類によっては、店舗に在庫がない場合も。

事前に連絡し、在庫や試奏可能かどうかを確認してから、店舗に行きましょう。

試奏の際に持参するものも、一緒に確認するのをお忘れなく。

主要メーカーの表面仕上げ

主要なサックスメーカーは、どんな表面仕上げを扱っているのでしょうか。

これから購入される方は参考にしてみてください!

セルマー

サックスの生みの親であり、最高峰のサックスメーカーであるセルマー。

上級者のこだわりに応えた、様々な表面仕上げを採用しています。

セルマーでは、ラッカー、銀メッキ、ブラック、GPトーン(ネックとリガチャーが金メッキ)、ブラッシュドサテン、金メッキ、ピンクゴールドメッキ、プラチナメッキを取り扱っています。

ヤナギサワ

国内生産にこだわり、ジュエリーのような美しい楽器を生み出すヤナギサワ。

表面仕上げは、クリアラッカー、金メッキ、ピンクゴールドを取り扱っています。

ヤマハ

コスパ抜群の入門モデルから、世界的なプロも愛用する上級モデルまで、幅広い楽器を製造しているヤマハ。

どのモデルでも、表面仕上げはゴールドラッカーのみを取り扱ってしています。

ビュッフェ・クランポン

サックスの他に、クラリネットやフルートなどにも定評があるビュッフェ・クランポン。

クリアラッカー、ゴールドラッカー、銅メッキ、金メッキ、銀メッキ、ピンクゴールドメッキ、ブラックニッケルメッキを取り扱っています。

ビンテージ仕上げなど、他のメーカーではあまり見られない仕上げも充実しています。

ネジ1本でも、表面仕上げで音が変わる

表面仕上げはサックス本体に施すイメージが強いですが、実はネックやリガチャー、さらにはネジなどにも可能。

しかも、ネジ1本でも表面仕上げ次第で音色が変わるんです!

サックス本体全体では高額になってしまう仕上げも、小さいパーツならお手頃価格で挑戦できます。

サックスの表面加工が可能な部分

マウスピース、本体、ネジなど、様々なパーツの表面加工が可能です。

ただし、取り扱う加工は楽器店や加工工場によって異なりますので、事前に直接確認しましょう。

  • マウスピース
  • リガチャー
  • リガチャーのネジ(1本から可能)
  • ネック
  • キイ
  • サックス本体のネジ(ネックジョイントスクリュー、ライヤースクリューなど)
  • サムフック、サムレスト
  • サックス本体

サックスの表面加工の注意点

サックスは、表面のわずかな変化が音に影響する繊細な楽器です。

そのため、自分の楽器を持ち込んで加工してもらう場合は、楽器の状況によっては表面加工ができないこともあります。

また、楽器本体の傷が表面仕上げによって直るとも限りません。

傷やへこみの修理は、表面仕上げとは別で考えた方がいいでしょう。

既製品に手を加えるということは、あなただけの一点物になるということ。

表面仕上げを依頼する方と相談して、慎重に進めましょう。

サックスの表面加工の依頼先

表面加工の依頼先として、最初に考えられるのは楽器メーカーです。

新品で楽器を購入する場合、オプションとして表面仕上げを選択できる場合もあります。

しかし、表面仕上げの種類によっては、メーカーでは取り扱っていない場合があります。

その場合は、楽器の販売店や、加工や修理を専門的に行っている会社や工場を探しましょう。

楽器やリードなどを購入している販売店に相談すると、紹介してくださるかもしれません。

ネットで「サックス メッキ加工」などで検索すると見つけられます。

運が良ければ、中古品を入手できる可能性も

新品や自分の楽器を加工する以外にも、自分好みの表面仕上げの楽器を入手する方法があります。

それは、中古品を購入することです。

定期的に検索する他に、中古楽器店の方と仲良くなって、自分好みの楽器が入荷されたときに連絡してもらうよう依頼するなどして、情報を集めましょう。

好みの中古品に出会えるかどうかは、運次第。

気長に待って、出会ったときは運命を信じてお迎えするのがオススメです。

サックスの表面仕上げ沼へようこそ

趣味などで、「ハマって抜け出せない」「どんどん新しいものが欲しくなってしまう」といった状態を「沼」と表現しますよね。

サックスのメーカー、モデル、素材、そして表面仕上げの組み合わせは無限大。

サックスの表面仕上げは、まさに「沼」と言えるでしょう。

表面仕上げにこだわるようになったら、あなたも立派なサックス上級者。

ネジ1本から気軽に試せますので、様々な表面仕上げに挑戦して「沼」を思う存分楽しみましょう!

マーケットエンタープライズフィールドセールス

樋口千春 /
ビギナーズ編集部 ライター

映画とアートと焼餃子(皮厚め)を愛するライター兼イラストレーター。写真も少し撮る。激務な会社員時代を経て、出産後フリーに。意外となんとかなるもんだ。乙女な娘&すぐに尻を出す息子と笑い転げる日々。

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