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ピアノのスケールについて解説!練習の目的や効果も解説
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ピアノを始めると“スケール“という言葉をよく聞くようになると思います。特に教本には「スケールは大事!」と書かれていることがあります。
しかしなぜ重要なのか、ピアノ上達には本当に欠かせないことなのか疑問に思うのではないのでしょうか。
ここでは、なぜスケール練習が必要なのか?スケール練習をするとどんないいことがあるのか?気になる2点をそれぞれご紹介していきます。
目次
スケールとは
日本語で言うと音階という意味で、低い音から高い音までを順番に並べた音の階段のことを言います。
それがメジャースケールの場合は全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音の順番で7つの音が並ぶことをいいます。
よくみんなに言われている音階は、「ドレミファソラシド」というCメジャースケール(ハ長調)です。他にもスケールの種類があり、それによって音楽のテイストが変わってきます。
メジャースケール(長音階)
明るい印象が特徴のメジャースケール(長音階)は世界中で一番よく使われている代表的なスケールです。元気で明るいノリノリ系の曲によく使われますが、バラ―ドでも多様化されています。
ピアノのレイアウトでは、ドから白い鍵盤だけを弾いていけば、勝手にCメジャースケールが完成します。最も慣れ親しまれているスケールですね。
その法則をわかりやすく表記すると、「全全半全全全半」です。
マイナースケール(短音階)
マイナースケール(短音階)は暗く哀しい印象を持ったスケールです。ただ、マイナースケールもメジャースケール同様、非常にいろんな顔を持っています。大人っぽいテイストを出すことができ、複雑な表現ができるスケールでもあります。
マイナースケールは、メジャースケールと異なり、全部で三種類に分岐しています。
- ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)
- ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
- メロディックマイナースケール(旋律的短音階)
マイナースケールの種類
先ほど、マイナースケールは全部で3種類あるとご紹介しました。
ここからは、その3種類の特徴について詳しく解説していきます。
ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)
まずはナチュラルマイナースケールです。これは、上でお伝えしたメジャースケールの、第6音から出発したスケールです。Cメジャースケールの場合は「A」になります。Aからピアノの白鍵だけを弾いた時に完成するのが、このスケールです。法則は「全半全全半全全」です。
特徴
弾いてみるとわかりますが、聞いた感じマイナー感はきちんと醸し出せているのですが、どこかはっきりしない、曖昧なニュアンスがあると思います。
これは最後の音、「G」が、戻ってくる「A」に対し長二度の音程になっているからで、これにより解決したかどうかがはっきりせず、主音がどこにあるのか、曖昧な響きになってしまうのです。その為メロディーでは曖昧な感じになり、このスケールからできるコードではトライトーンが作られないので、ハーモニーとして使うにもどっちつかずな感じになります。
そう思うと、 割と欠点の多いスケールですね。
ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
こちらは名前の通り、ナチュラルマイナースケールでの欠点を克服して、コードにトライトーンを作れるよう、改良したモデルになります。
法則は「全半全全半増2半」です。
特徴
具体的には、ナチュラルマイナースケールの第七音、「G」だった音を、半音上げて「G#」にしたスケールです。
これにより、メリハリのついた雰囲気になりますが、ここで問題なのは、半音上げたことで、「G#」とその前の音「F」にあいた増2度の音程です。
コードで聞くぶんにはいいのですが、メロディーで使うにはあまりにあきすぎていて、旋律が断裂して聞こえてしまうのです。
名前の通り、ハーモニーに特化して、旋律には弱いスケールになります。もちろん、この独特な雰囲気が好きで多用している方もいるので、使ってはいけない、ということではありません。
あくまでも好みですので、このスケールが好きというものがあれば使っていいと思います。ちなみに私は好きで、よく練習スケールで多く弾いています。
メロディックマイナースケール(旋律的短音階)
最後はメロディックマイナースケール、旋律的短音階です。今までの傾向通り、上記で問題だった断層感をなくす為、旋律でも使えるよう改良されたモデルです。
法則は「全半全全全全半」です。
特徴
これは今まで同様、足りなかった部分を補うように、音程を移動したスケールです。具体的には、第六音、上記の例では「F」の音を「F#」に上げたスケールです。
これにより増2度の音程が解消され、メロディーらしい動きが可能になりましたが、こちらにも弱点は存在します。
このスケールは、とてもメジャースケールに似ているのです。というよりほぼほぼ構造が同じです。
上昇ならまだしも、下降では後半に至るまで、メジャースケールに聞こえてしまっています。その為、このスケールは上昇限定で、下降の際にはナチュラルマイナースケールを使う、ということになっています。
このようにそれぞれ特徴はありますが、使い方は好みですので、参考までにしてみて下さい。法則さえ覚えれば応用は可能ですので、スケールをある程度マスターしたら、応用してみるのも楽しいです。
そこまでいくには日々の練習が必要となりますので、今度は練習についてお話していきます。
スケール練習の目的・効果
多くの教則本には「スケール練習は大事!」と謳われており、実際の練習方法もよく載っていますが「何のために行うのか」という部分が割と掘り下げられていないことが多いです。
その結果、ひたすら単純なスケール練習を行っても生かせていない人が多くいるように見受けられます。何でもそうですが、目的や意義を意識したうえで行うと、同じ練習でもとたんに有効性が増すものですので、しっかり意識して練習してみましょう。
スケール練習の主な目的・効果は以下の通りです。
- 運指の安定性向上
- 鍵盤感覚の把握
- 耳コピがしやすくなる
- アドリブによるフレーズが作りやすくなる
このようにポイントが4つあるので、ひとつずつ見ていきましょう。
運指の安定性向上
ピアノは両手の指10本をフルに使用して弾く楽器です。
しかしながら、人間の指の力の強さは均等ではなく、薬指や小指の力は非常に弱いです。特に薬指は独立して動かしにくいはずです。
その力のアンバランスさは「音の粒のバラつき」として明確に現れます。「音の粒のバラつき」とは、音の大きさだったり、テンポに対するバラつき(モタったり、走ったり)を指します。
これが聴く側に対して上手く聴こえるか、下手に聴こえるかを分ける大きな要素であると思います。このバラつきを是正するのにスケール練習は非常に有効です。
つまり、使う指に差がないので、薬指や小指も均等に鍛えていくことができるのです。しかし、ただ動かしているだけではあまり効果はありません。
効果的に行うには、メトロノームでテンポを設定し、そのテンポ通りに音の粒を意識しながら練習することが大事です。
鍵盤感覚の把握
ピアノを弾く際、例えば隣り合った鍵盤であれば目で見なくても「F」→「G」という感じで弾いていくことは簡単ですが、「F」→「B」のように音が跳躍していると不安でついつい鍵盤を見ることが多いと思います。
鍵盤をずっと見ないと弾けない状態では、譜面を見ながらの演奏に支障がありますし、バンドの場合はメンバーとのコミュニケーションや周囲の音に気を配ることも難しくなります。
そこで大切になるのが、鍵盤間隔を体で覚えていくことですが、この感覚を養うのにもスケール練習は有効です。
耳コピがしやすくなる
バンドで曲のコピーを行う場合、バンドスコアがない場合は耳コピ(音源を聴いて弾けるようにする)を行う場合があります。
耳コピで曲を正確にコピーするのは難易度が高いですが、いくつかの手順があります。その手順のうち、まずは「曲のキーを特定」する必要がありますが、そのキーを特定するためにスケールが役に立ちます。
曲のメロディは、8~9割程度がそのキーのスケール音で構成されていますので、メロディを鍵盤で弾いていくと、どのキーのスケールを使用しているか、ということが把握できるのです。
アドリブによるフレーズが作りやすくなる
ジャズプレイヤーのように自由自在にアドリブを演奏できるのは憧れです。ジャズとまではいかなくても、身近な例でいえば、ポップス等のソロパートでいつもと違うソロを入れる、これも立派なアドリブです。
アドリブを上達させるには実践あるのみです。まずは2音~3音程度からスタートして、自分で弾いてみます。慣れてきたら、左手でコードを弾きながら作ったメロディーを合わせてみるなど、徐々に音を増やしていくとスムーズに上達していきます。
とにかく実践あるのみですので、挑戦してみましょう。
スケールの練習に効果的な教材
スケール練習に役立つ教材として、ハノン教本は欠かせません。ハノンには、10本の指を使った練習パターンが数多く掲載されており、昔からスタンダートとされている練習本です。
指番号も書かれており、初心者の方でもしっかりとした基礎の練習ができます。指遣いはとても重要で、指の運び方で鍵盤の幅を覚えることができたり、スムーズに指運びができるポイントでもあります。
練習する前、まずはハノンをやり、指を慣らしてから弾くなど、ハノンを効果的に使うと指がきれいに動き、ピアノが楽しくなりますので、ぜひたくさん活用しましょう。
音を抜くことでできるいろいろなテイストのスケール
「ドレミファソラシド」という基本的なスケールを少しひねってみましょう。ある音を抜くと和風に聞こえたりしてきます。そのスケールを使って、大体の曲のメロディーが作られていくので、スケールのテイストというのが大事になってきます。
ヨナ抜き長音階(和風音階)
メジャースケールでいう、4番目と7番目の音を抜いたスケールを弾いてみると、和テイストになります。“ド“から始まる場合、”ファ“と”シ“の音を抜いたスケール、「ドレミソラド」というスケールです。日本人になじみ深く、童謡や演歌などではおなじみのスケールです。また、中国でもこの音階が使われます。
ニロ抜き長音階(琉球音階)
沖縄テイストの音階です。メジャースケールの2番目の音と6番目の音を抜いたスケールとなります。
まとめ
いかがでしたか?スケール練習は何のために行うのか?ということを中心にまとめてみました。
目的や効果の他にもスケール練習の目的はあるものと思いますし、この辺りは人によって分かれる部分でしょう。
ただ、どういう目的でスケールをマスターするとしても、その目的を意識した練習を行うことで、その練習効果が発揮できます。
せっかく時間をかけて行う練習ですので、無駄のない、本当に身に付く練習にしていきたいですね。
また、練習といった視点を離れてみると、世界中の音楽にはいろんな種類の音楽スケールが存在し、楽曲が使用するスケールにより、音楽のテイストが変わってくることがわかりました。
このようにピアノなどの音楽をやっていく上では、スケールがとても大事になのでたくさん練習しましょう!。
加えて、こちらの記事では、ピアノが倍速で上達する練習法を紹介していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
伊藤しおり /
ビギナーズ編集部 ライター
趣味はピアノを演奏することと、野球観戦。 現在は自宅でピアノ講師をしながら、演奏活動をして音楽を楽しんでいます。野球も小さい頃から好きなので、音楽もスポーツもどちらの楽しさもお伝えできたらいいなぁと思います!