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トラベリングをしないための4つのコツ|ルール「ゼロステップ」についても解説

トラベリングのルールがここ数年で変更されたのをご存知でしょうか。FIBAでは2017年10月から、JBAでは2018年4月から新しいルールで試合が実施されています。
そのため、バスケのゲームをしているとき、今まではスルーできていたプレーでトラベリングの笛を鳴らされることが増えているはずです。
そこで今回は、「今のはトラベリングなのか」と疑問に思い悩んでいる方のために、新しくなったトラベリングのルールについて詳しく解説していきます。
さらに、トラベリングが起きやすいシチュエーションや、トラベリングをしないためのポイントも紹介するので、1つずつじっくりと確認していきましょう。
目次
バスケのトラベリングとは

バスケのトラベリングは、一言でいうと「ボールを持ったまま3歩以上歩いたらファール」になるルールです。しかし、歩数カウントにおける認識が若干ややこしいのが現状です。
そのため、新しくなったトラベリングのルールを確認する前に、トラベリングについての基本的な考え方をきちんと把握しておきましょう。
3歩以上歩いてはいけないルールのこと
バスケのトラベリングは、一言でいうと「ボールを持ったまま3歩以上歩いてはいけない」というルールです。これだけではイメージが湧かないと思うので、もう少し具体的に見ていきましょう。
【味方からパスをもらい、ボールを持ったまま左足から歩いた場合】
- 1歩目:踏み出した左足(軸足/ピボットフット(※))
- 2歩目:続けて踏み出した右足
(※)ピボット:1歩目を軸足にしながら、もう一方の足でステップを踏む動作のことをいいます。
歩数を2歩目までに抑えれば、トラベリングになりません。ただし、その後の動きには細心の注意を払いましょう。次のような動きをした場合にはトラベリングと判断されるからです。
- 左足(ピボットフット)がずれてしまったとき
- 左足(ピボットフット)を再度踏み出してしまったとき(3歩目になる)
この際、「何歩歩いたか」を考えるよりも「ピボットフットがどうなっているか」という考え方の方が、分かりやすいです。
なお、トラベリングとコールされた場合は、ボールの所有権が相手チームに移行します。
そして、トラベリングが発生した場所から最も近いサイドラインまたはエンドラインの外側より相手チームがスローインして試合を再開するというのが、トラベリングが発生した後の一連の流れです。
歩数カウントに注意が必要
静止した状態(両足をフロアに付けた状態)でボールをキャッチすると、動いていなくても受け取った時点で1歩目となります。
トラベリングを「何歩動いたか」との認識で捉えていると、まだ動いていないので0歩だと勘違いしがちなのですが、バスケではこの時点で1歩としてカウントされてしまうのがルールです。
なお、両足をフロアに付けた状態でボールをキャッチした場合は、当然ピボットフットが決定しません。そして、右足で踏み出したらフロアから離していない左足がピボットフットになります。
ちなみに、両足をフロアに付けたままボールを受け取った後、両足を同時にフロアから離してジャンプするのは避けましょう。
なぜなら、どちらの足がピボットフットかはまだ決まっていないものの、この時点でピボットフットをフロアから離したことになってしまうからです。そのまま着地したら、トラベリングになってしまいます。
トラベリングの新ルール「ゼロステップ」について

「ゼロステップ」とは、動いている状態でボールをキャッチしたときに適用されるトラベリングの新ルールです。ただしこのルールには、審判からも「中々判断しづらい」との声が挙がっています。
そのため、自分ではゼロステップを踏んだつもりでも、審判によってはトラベリングになる可能性があることは否めません。そのため、ゲームでは使用しない方が無難です。
ゼロステップとは
数年前より、トラベリングのルールが改定されました。動いている状態でボールをキャッチしたときに適用される「ゼロステップ」と呼ばれるトラベリングの新ルールが追加されたのです。
FIBAでは2017年10月から、JBAでは2018年4月からこのゼロステップが適用されています。
従来のルールとの違いは歩数のカウント方法にあります。今までは、ボールをキャッチしたときフロアに着地した足がピボットフットとされていました。
しかし新しいルールでは、ボールをキャッチした際にフロアに付いた足はピボットフットと判断されず、その次の足がピボットフットになります。
つまり、床に足が付いた状態でボールを持った場合、その足は0歩目になるのです。
このように、ルール改定前よりも攻撃側が1歩多くステップを踏めるようになったため、現在はプレーの幅がグンと広がっています。
トラベリングに見えるユーロステップ
ユーロステップとは、ディフェンス前で横切るように1,2ステップでジグザグに動くテクニックのことで、別名「ツーステップ」とも呼ばれています。
主に、ペイントエリア(※)内に向かってドライブで切り込んでいく際、前に現れるディフェンスをかわしシュートまで持っていくことを目的に使用されます。
以前、ユーロステップはトラベリングではないのかとの大きな議論が生じました。
その議論の中でユーロステップ支持派からは、ユーロステップがトラベリングにされない理由はゼロステップにあるという意見が発言されています。
ゼロステップの概念ができたことで、ユーロステップをプレーしやすくなったのは確かです。そして、現在NBAでは、ユーロステップはトラベリングに見えるステップだと認識されています。
しかし、トラベリングに厳しい日本においては、ユーロステップおよびゼロステップはトラベリングであるとのジャッジをする場合がまだまだ多いのが現状です。
(※)ペイントエリア:バスケコート内のゴール周辺に区切られている、長方形のフリースローレーンのことです。「制限区域」とも言われます。
ゼロステップはできるだけ使用しない方がよい
「ボールをキャッチした瞬間の1歩目をどのように定義するか」が曖昧なゼロステップは、プレイヤーたちにとってはもちろんのこと、審判にとっても非常に複雑なルールとなります。
そして各個人で定義の捉え方が違うため、自分ではゼロステップをしていると思っていてもトラベリングだと判断されることのある可能性が低くはありません。
そのため、無難にプレーするのであれば無理にゼロステップを使用しようとはせず、今まで通りのステップを行うよう意識することをおすすめします。
トラベリングが起きやすい場面

トラベリングをしないようにするため、トラベリングの起きやすい場面を把握しましょう。そうすることにより、対策を練ることが可能です。
この章では7つのシチュエーションを紹介していくので、まずはしっかりと頭に入れてイメージを膨らませてください。そして実戦の際に生かせるよう、チームメイトと状況を再現してみることをおすすめします。
ドリブルを突き始めたとき
ドリブルの突き始めたときにトラベリングになりやすいのは、ボールよりも先に軸足が動いてしまうのが理由です。
このことが原因のトラベリングを回避するためには、先にボールを突き始めてから足を動かすようにしなければなりません。
焦っている状況下では足が先行してしまうことがどうしても多くなりますが、本番をイメージした練習を行って体で覚えるようにしましょう。
ドリブルを止めたとき
トラベリングになりやすいのは、ドリブルを止めたときに地面に付いていた足が2歩目にカウントされた後、1歩目の足が動いてしまうクセがついているからです。
そのため、ドリブルを止める直前に踏み込んだ足は1歩目にカウントされることを頭に叩き込み、「ドリブルを止めたとき、一度地面に足を付けたら動けない」という感覚を体得するようにしてください。
パスを貰ったとき
パスを受け取った時点で地面に付いている足が1歩目になるため、2歩目を踏んだ後1歩目が地面から離れる前に次のアクションをしなければなりません。そして、アクションに移せないとトラベリングになります。
つまり、パスが自分に回ってくるだろうと予測できる時点から、シュートを狙うのか、もしくはドリブルかパスでつなぐのかを状況判断により決めておくべきなのです。
空中でパスを貰って両足で着地したとき
空中でボールをキャッチして両足で着地した場合、その時点で1歩目のカウントと見なされます。
そこから2歩目を踏み出した時点でピボットフット(軸足)が決まるため、その後にピボットフットではない反対側の足を動かすとその時点でトラベリングになります。
このように、両足で着地すると1歩分のみの範囲内で戦わなければならなくなってしまうのです。
できるだけ動ける範囲を広くするためには、ボールを持ちながら踏み出す方の足である「ピボットフット(軸足)」を意識しなければなりません。
ディフェンスに囲まれたとき
ディフェンスに囲まれるとトラベリングになりやすいのは、相手ディフェンスに囲まれると周りを確認する際に足を移動させてしまうことが多いからです。
また、ディフェンスの状況を確認し切れていないままドリブルを突こうとしたら、実はディフェンスが目の前にいてドリブルが突けず焦ってしまい、足が先走ってトラベリングになることも多々発生します。
バスケのゲーム中は常に「予測」と「状況判断」を心がけ、決して焦らず落ち着いてプレーするようにしましょう。
ギャロップステップをしたとき
ドリブルしながらゴールに向かい、ドライブ中にディフェンスを空中でかわすプレーがギャロップステップです。1歩目を大きく踏み込んだ後、逆サイドを見ながら2歩目を踏み込み両足で着地します。
着地した後は足を動かすことができないのですが、足を動かしてしまう場合が多いためトラベリングが起きやすいのです。
ギャロップステップは、ディフェンス側からのカットやブロックがされにくい技となります。
それだけにシュートを決めやすい体勢を保てるので、両足で着地したらすぐにシュートを狙うクセをつけるようにしましょう。
ルーズボールを取ったとき
両チームともにボールから離れているときのボールのことを、ルーズボールといいます。ルーズボールを取りに行く際には、何とかボールを取ろうと頭から飛び込んでいくことが多いです。
しかし、ボールを保持したまま一度寝ころび、再度立ち上がってしまうとトラベリングだと判断されます。また、「立ち上がらなければよい」とフロアを転がるのもトラベリングです。
そのため、ルーズボールを取ったときにはフロアに寝ころんだまま、もしくは座った状態で味方にパスを出すようにしましょう。
トラベリングをしないためには

トラベリングはバスケでゲームをするにあたり、誰しもが最初にぶつかる大きな壁だと言われています。しかし、トラベリングをしないようにするための秘訣がいくつかあるので、心配は不要です。
次に紹介する4つのポイントをしっかりと確認し、今後それらの内容を意識して練習していけば、必ずトラベリングを減らしていけます。
- ピボットを上手に活用する
- 上半身を足の外側に倒さない
- ボールを先に突くことを意識する
- 周りの動きを意識する
ピボットを上手に活用する
トラベリングを防止するためには、まずピボットを踏むことを意識しましょう。
ピボットを上手に活用することにより、ディフェンスからの圧力がどれだけ強くても、隙を見てボールを前線にもっていくことが可能です。
軸足をフロアにしっかり付けてステップを行い、不意に軸足がフロアから離れるのを防ぎましょう。
上半身を足の外側に倒さない
まず両足を肩幅の2倍くらいに開き、右か左の足の上に上半身を移動させてみてください。さらに、上半身を移動させ、足の外側に倒してみましょう。
すると、逆側の足が浮いてき始めるはずです。そして、爪先がわずかに残って引きずったり、完全に浮いてしまったりしたらトラベリングをしていることになります。
次に、肩幅ほど足を開いて同様の動作を行いましょう。今度は、逆側の足がそんなに引っ張られることはありません。つまり、上半身を常に両足間に残すことで、軸足が離れることを回避できるのです。
これからは、軸足を意識しつつ上半身を足の外側に倒さない動作を繰り返し、その体勢を体に刷り込んでいきましょう。
ボールを先に突くことを意識する
ドリブルを突き始める瞬間にトラベリングになることが多いので、ボールを先に突くことを意識しましょう。ボールよりも先に足が動いてしまわないよう、ドリブルを突くタイミングを早くしてみてください。
慣れているタイミングを急に変えるのは困難ですが、ボールを膝より下から突き出すようにすると上手くいきやすいです。たったこれだけのことで、トラベリングはなくなります。
周りの動きを意識する
バスケのゲーム中は、常に周りの動きを確認しながら状況を把握しておく必要があります。
パスを受けた後、味方や相手の動きが把握できていないと、その場で次のアクションを考えなければならないからです。ゲーム展開の早いバスケでは、プレー中にゆっくりと次の一手を検討する時間はありません。
常に一歩先の行動を予測し意識することにより、パスを受け取った後に焦ってトラベリングしてしまうことなくスムーズに次のプレーへ移行できます。
トラベリングのルールについて理解を深めよう

トラベリングをしないようにするには、まずトラベリングのルールを頭に入れておくことが大切です。
なお、トラベリングのルールには現在「ゼロステップ」が導入されています。審判が判断しにくいプレーなので、無難にプレーするのであればゼロステップはできるだけ使わない方がよいです。
ルールについての理解が深まったら、次にトラベリングが起きやすい状況をイメージトレーニングする訓練を繰り返し行ってください。
同時に、ピボットを上手く活用したり上半身を足の外側に倒さないようにしたりなど、トラベリングをしないためのコツも体得しておけば、今後はトラベリングになる回数が確実に減っていくはずです。
トラベリングを克服し、今までよりも自信を持ってプレーできるようにしていきましょう。
こちらの記事では、バスケットボールのディフェンス上達のコツと試合で勝つためのポイントを解説しています。
バスケのルールをより理解したい方は、バスケットボールの試合を中継で観戦するのもおすすめです。映像と同時に解説が入るので、わかりやすいでしょう。

ビギナーズ 編集部 /
ビギナーズ編集部 ライター
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