リッケンバッカーのギター｜シリーズごとの特徴と入手方法を解説

リッケンバッカーは、ビートルズのジョン・レノンなどのアーティストに愛され、現在でも有名なミュージシャンも愛用しているギターのブランドメーカーです。

他のギターにはない個性的な特徴があり、プロやベテランのミュージシャンだけでなく初心者の方にも人気を集める魅力があります。

ここでは、これからギターを始める方に向けて、リッケンバッカーやシリーズごとの特徴をお伝えし、自分に合ったものを選べるように情報をお届けします。

自分好みのリッケンバッカーを探して、音楽の時間を楽しみましょう。

リッケンバッカーとは

リッケンバッカーのギターがどのようなシーンで演奏され、昔から親しまれているギターブランドであるかを紹介します。

ビートルズが愛用したギターブランド

1925年に設立したアメリカのメーカーで、ビートルズのジョン・レノンやジョージ・ハリソンが愛用したことで、世界的に有名になりました。

日本だと椎名林檎やレミオロメンの藤巻良太が愛用し、その他にも多くのミュージシャンから愛されているブランドです。

リッケンバッカーのギターは個性的なホロウボディが特徴で、他のメーカーにはない魅力があります。寸法に種類があり、様々な仕様が独特で「個性の魂」といわれています。

美しいハーモニーを生み出す12弦

通常の6弦に、副弦が張られて12弦となっています。6弦ギター同様の演奏感で、コーラスのかかった美しいハーモニーを奏でられます。

定番モデルである「330」「360」の両方に12弦モデルがラインナップされており、6弦ギターと比較するとネックの幅が広く、ペグを12個搭載するためヘッドが大きくなる特徴があります。

• ネックの幅が広くなる
• ペグを12個搭載するためヘッドが大型化する

独特のサウンドになるホロウボディ

アコースティックギターのようにボディに空洞があり、生音は大きいです。ギター本体の重量は軽く、木製の特性が出た、コリコリ間のある輪郭のはっきりしたサウンドが特徴です。

人によって硬い印象を持つ方もいますが、アタックの立つリッケンサウンドは特にロックでのパッキングに特化したギターで、ギターボーカルが持つ楽器というイメージを持つ人も多いです。

重量は軽く、体への負担が小さくなり、弾きやすく長時間のライブ演奏等にも最適です。

フィフス・コントロールでサウンドの幅が広がる

通常のエレキギターはボリュームやトーンのコントロールがあるのに対し、リッケンバッカーでは、フロントピックアップの疑似ブースター的な役割を果たすフィフス・コントロールが搭載されています。

こちらは、フロントピックアップの疑似ブースターのような役割があり、絞るにつれて音量が上がる仕組みです。

ボリュームやトーンとは別に、このフィフス・コントロールをうまく活用することにより、様々な音と奏でられサウンドをアウトプットできます。

【シリーズ別】リッケンバッカーのギターを解説

リッケンバッカーをシリーズ別にまとめました。さらに詳しく知りたい方は、シリーズごとに解説しているので内容を確認しておきましょう。

シリーズ名	300シリーズ	600シリーズ	ヴィンテージシリーズ	Cシリーズ	12弦シリーズ
特徴	セミホロウボディ ミディアムスケール	ソリッドボディ ショートスケール	ホロウボディ 21フレット	ヴィンテージスペックの再現	12弦は副弦の張り方の手順が異なる
価格帯	30万8,000～38万5,000円	28万～40万円	75万円	56万円～75万円	38万5,000円～

バランスの取れた300シリーズ

300シリーズには「330」と「360」があり、空洞のあるセミホロウの空気感とシャープさのバランスが取れた楽器で、美しい音を楽しめます。

セミアコタイプのため、温かみのある音やクリーンサウンドやロックバンドにもマッチするサウンドを奏でられます。

基本グレードが330、ハイグレードが360とし、それぞれ3ピックアップ12弦モデルがリリースされています。

シリーズ	ボディ形状	サイズ	コンセプト
330	メイプル制セミホロウボディ	弦長24.75インチ 指板R10インチ	標準機
360	カッタウェイの形状が330と異なる ボディトップのエッジが丸く処理		高級機

ソリッドボディの600シリーズ

個性的なシルエットが特徴で、高域が出やすい木材を使用しています。全体的にバランスのよいサウンドを奏でられ、輪郭がはっきりとしているのでアタックが強めに感じられます。

コード音も立体感があり、自然な響きを失うことはありません。ボディに空洞がなく、パワフルに歪ませることができ、弦長は330と同じ24.75インチです。

「620」と「660」では共通ポイントが多いですが、異なるポイントを挙げています。

シリーズ	ボディ形状	サイズ	コンセプト
620	メイプルボディ メイプルスルーネック	弦長24.75インチ	標準機
660			ヴィンテージスタイル

現行は1種類のヴィンテージシリーズ

Model 381V69 Firegloは、1960年当時の仕様を再現したヴィンテージ・リイシューモデルです。300シリーズより厚みのあるボディで、出力が控えめのトースターピックアップが特徴です。

330や360と比較すると、381の方がクリアな音でボディへの響きもよい印象です。

21フレットであることにより、フロント・ピックアップの位置がネックよりマウントされていることも、サウンドの違いに反映されています。

ブリッジカバー付きで、ボディはホロウ、ボディとネック材はメイプルで、カラーはFiregloです。価格は75万円+税ですが、販売店によって価格が異なります。

頂点を目指したCシリーズ

Cシリーズは、進化型エンジニアリングプロジェクトの頂点であり、数多くの製造上のバリエーションを調整し、それらを最新の製造方法と品質基準に適合させたストーリーがあります。

Rickenbacker 325C64のモデルの場合、「C」は「クラック」を表し、C64の「64」は1964年の年式を表します。コンセプトはヴィンテージスペックの再現になり、現行モデルスペックの特徴は次のポイントになります。

• トラスロッドが2本
• ローラーブリッジ
• ビブラートユニットを改良して安定性が向上
• ピックアップ、ネームプレート、ペグにマイナスネジを採用

弦の張り方が特徴的な12弦シリーズ

リッケンバッカーのギターは、通常6弦モデルに関しては他のエレキギターと同じように張り替えることができますが、12弦は副弦の張り方の手順が異なるため戸惑う方も多いです。

一般的な12弦ギターの場合、1弦・2弦・3弦・4弦・5弦・6弦に対して、副弦は1・2・1・2・3・4と張っていきます。

簡単に表すと、【1・1(副)｜2・2(副)｜3・1(副)｜4・2(副)｜5・3(副)｜6・4(副)】となり、ダウンピッキングして最初に当たる副弦は4です。

これに対しリッケンバッカーは、メインの弦と副弦の位置が逆になっているため、【1(副弦)・1｜2(副弦)・2｜1(副)・3｜2(副)・4｜3(副)・5｜4(副)・6】となり、ダウンピッキングして最初に当たる副弦は6です。

	ボディ	指板	スケールのサイズ	ナット幅
Model 1993 Plus Fireglo	メイプル、F穴付き中空	10インチ半径(25.4cm）	24 3/4インチ（60.96cm）	44.45mm
Model 1993 Plus Jetglo	メイプル、F穴付き中空	10インチ半径(25.4cm）	24 3/4インチ（60.96cm）	44.45ｍｍ
Model 330/12 Fireglo	メイプル、半音響	10インチ半径(25.4cm）	24 3/4インチ（60.96cm）	1.63インチ（4.14cm）
Model 360/12C63 Fireglo	メイプル、セミアコースティック、バインディング付き	半径：7 1/4インチ（17.78cm）	24 3/4インチ（60.96cm）	1.63インチ（4.14cm）

ギター以外のリッケンバッカーの取り扱い商品

公式サイトのElectric BassesやAccessoriesでは、ギター以外に次の商品を取り扱っており、表にまとめました。ギターも含めて見てみましょう。

Electric Guitars	300シリーズ 600シリーズ ヴィンテージシリーズ Cシリーズ 12弦シリーズ
Electric Basses	4000シリーズ
Limited Collections	2014リミテッド 2014-15スペシャルリミテッド 2014リミテッドバージョン2
Accessories	ストラップ 弦 ステッカー クロス

中古でしか購入できない生産中止のシリーズ

生産がストップし、現在では中古品でしか手に入らないシリーズを確認しておきましょう。

70年代に生まれた400シリーズ

90年代後半から2000年代にかけて、UKを中心としたロックバンドで再び注目されたギターです。ゴツいネックやボルトオン・ジョイントが特徴で、コレクターからも人気のレアモデルとして熱い視線を浴びています。

400シリーズを使用しているアーティストでは、イギリス・レスター出身の「KASABIAN」でギタリストを勤めるセルジオ・ピッツォーノが有名です。2004年には「Club Foot」の曲が代表作です。

1960年代まで発売されたコンボシリーズ

リッケンバッカー草創期から60年代に発売され、420や450シリーズの元になったモデルです。現在すべて生産中止になっています。コンボシリーズを表にまとめているので、特徴を把握しておきましょう。

Combo400	スルーネックとボディで3ピース 接着ではなくボルトで固定する仕様
Combo900	ショートスケールで1ピックアップ仕様 420に近いカッタウェイの形状が特徴 21フレットネック
Combo950	900の2ピックアップ仕様
Combo1000	900のスチューデントモデル(廉価版)で18フレットネック

限定生産された新星堂60周年シリーズ

2009年に新星堂の創立60周年を記念して、複数のギターが限定生産されました。レギュラーモデルより高品質で元々数が少ないため、2020年現在では市場にほとんど出回らなくなりました。

非常に良質な木材と質の高い木工と組み込みの仕上がりが美しく、軽量なメイプルを使用しています。指板はローズウッドで、導線や木目が非常に綺麗です。

精度の高いフレットの仕込みや仕上がりなど、レギュラーモデルとは別格の仕上がりの良さで、最高峰モデルを実感させる素晴らしい出来栄えのギターが特長です。　

リッケンバッカーにはコピーモデルが存在

リッケンバッカーのコピーモデルを作っている会社を紹介しましょう。コピーモデルでも、リッケンバッカーに限りなく近いサウンドを奏でられ、オリジナルモデルも手掛けている人気のある会社です。

1970年代の日本ロックを支えた「グレコ」

日本で設立されたギターとベースのブランドで、楽器総合商社である「神田商会」が保有するプライベートブランドとして立ち上がり、国内生産の高品質なコピーモデルやオリジナルモデルで一時代を築きました。

大手ブランドを扱うとともに自社商品も開発しており、品質が高いとして多くのミュージシャンから親しまれています。現在ではさらに高品質を求め、個性的なオリジナルギターをリリースしています。

創業者の名前のアナグラム「アリア」

「アリア」は名古屋に本社を構える楽器商社で、創業者が荒井(Arai)だったので、アナグラムでアリア(Aria)というブランド名になりました。

360などのコピーモデルを製造し、現在では本場スペイン製のクラシックギターをアリア名義でリリースしており、エレキギターやフォークギターなど、各分野でラインナップされています。

初心者から上級者向けまで、王道モデルからマイナーな楽器まで幅広く手掛けており、人気のあるブランドです。

コラボモデルも作る「フェルナンデス」

1980年代からオリジナルでアーティストとのコラボモデルも発売され、リッケンバッカーモデルとしては、4001のコピーなどを再現しています。

サウンドもリッケンバッカーに限りなく近づけ、太く明るいメリハリのあるサウンドとなっています。

フェルナンデスは、クラシックギター卸売業者斉藤楽器が1972年に「株式会社フェルナンデス」に社名変更することで設立されたブランドです。

現在では、ギターやベースだけではなく、ピックやメンテナンス用品、練習用アンプなども取り扱っています。　

リッケンバッカーのギターを入手する方法

リッケンバッカーのギターを入手する方法は大きく3つの方法があります。リッケンに魅力を感じ、手に入れたいと考えている方はチェックしておきましょう。

正規の取り扱い店で購入

取り扱い店は全国にありますが、一部取り扱いのない県もあるのでお店に確認を取ってから購入するとよいでしょう。正規の取り扱い店は高価なので、資金に余裕のある方におすすめしたい方法です。

また、シリーズによっても取り扱っていないお店があるため、自分が欲しいシリーズに的を絞って探してみましょう。あらかじめ公式サイトのカタログを見ておくとイメージがつきやすいです。

通販サイトやオークションサイト

Amazonなどの通販サイトでは、基本的に個人が出品していて中古であることが多いです。

ヤフオクなどでも出回っていますが、コピーモデルも大量にあるため、中古でも気にしない方におすすめの入手方法になります。

中古品の場合、傷などがある場合もあるため、購入時のやり取りは慎重に行い、どの程度使用したのか、傷や汚れの程度はどの程度なのか、自分が気になるポイントはすべて聞くようにしましょう。

通販サイトでは実際に手に取って確認できないため、購入前のやり取りを焦らずに進めることが大切です。不安に感じることがあれば躊躇せずに確認するか、取引を中止しましょう。

中古でも高いので購入は慎重に

中古でも20万円以上するものが多く、その割に傷や汚れありのものが多いです。安さを求めているなら傷汚れがあっても仕方ないと考えておきましょう。

中古といっても決して安くないので、購入するなら信頼できるところで購入しましょう。中古品を取り扱う販売店では、自分が実際に手に取って確認できます。

傷の状態、音の響き、弦の調子なども、細かい部分を目で見て確認できるため、中古でも納得できるものが欲しいという方は、実際に確認できる販売店での購入がおすすめです。

リッケンバッカーでよくある疑問

リッケンバッカーを使用する際、多くの方が次のポイントに疑問を感じるようです。購入を検討している方は内容を確認しておくとよいです。

リッケンバッカーにレフトハンドモデルはあるのか

存在はしますがごく一部で、生産納期が不安定で、入荷するとしても不定期で正式な予約はできない状況なのが現状です。

一部のモデルもしくはカラーのみ、不定期な国内入荷にて取り扱いをしますが、正式な予約を取れる環境ではありません。

中古でもメーカーは修理してくれるのか

正規輸入品以外の修理は受けてくれないのが原則です。正規品であっても部品を生産していないものもあり、同じ型番のモデルでも、過去のモデルとはサイズや取付位置が違う場合があります。

「中古品だけ修理しない」というわけではなく、並行輸入品・個人輸入品も、正規輸入品でない本体の修理は受け付けないのが原則であると認識しておきましょう。

どんなアンプなら相性がよいか

出力に余裕のあるアンプがよいです。半導体アンプよりチューブアンプがおすすめです。チューブアンプのよさは、最大出力を超えても一気に歪率が上昇しないことです。

半導体アンプの場合、最大出力に近づくと一気に歪率が上昇し、音が潰れてしまいます。

演奏する音の大きさにもよりますが、一般的に半導体アンプで出力の小さいものではなく、出力の大きいチューブアンプを選ぶと安心です。

こちらの記事では、おすすめのギターアンプをご紹介しています。

好みのリッケンバッカーを見つけよう

リッケンバッカーにはシリーズがあり、種類や特徴を知ることで自分に合ったリッケンを見つけやすくなります。中古品やコピーモデルもあり、自分の条件に合った方法で入手しましょう。

ビートルズのジョン・レノンなど有名ミュージシャンが数多く愛用したブランドで、現在でもたくさんのアーティストに愛されています。

ベテランの方だけでなく、初心者の方も最初のギターとして親しみを持って愛用できるので、趣味の時間を楽しみましょう。

こちらの記事では弾きやすいギターを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。