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ベースのスラップの練習方法やコツ、参考にするべきベーシストを紹介
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ベースの演奏を始めてしばらくすると、「スラップ」(チョッパー)という奏法に興味を持つことは不思議ではありません。これは数あるベースの奏法の中でも一際派手で、またYoutubeやTwitterなどのSNS上でも多くのプレイヤーが披露しています。
本記事ではスラップ奏法の概要や種類、テクニック、参考にしたいベーシスト、おすすめの基礎練習や練習曲を紹介します。
目次
ベースのスラップ奏法とは?
スラップ奏法は、日本ではチョッパー奏法と呼ばれることもある演奏方法です。
親指で弾く「サム」と他の指で弾く「プル」を組み合わせて行われるもので、フレットと弦がぶつかる音が強く発音されるためにパーカッシブなサウンドが特徴的です。
その根源はウッドベースにあると言われ、指板と弦が当たる音を効果的に使用していた点が酷似しています。スウィング、ジャズ、ロカビリーなどのジャンルでよくみられる奏法です。
エレクトリックベースでスラップ奏法をやり始めたのはラリー・グラハムだと言われていますが、そのきっかけはドラムがいないことを補うためでした。
当時演奏していたバンドにはドラムがおらず、サムでドラムのキック、プルでスネアのようにして一人でもアンサンブルを作れるように工夫したのだと言います。
ラリー・グラハムに代表されるように、スラップは当初ファンクミュージックをメインにして聞かれることが多かった奏法です。しかし今ではロック、ジャズ、ポップスと幅広いジャンルで親しみのあるものになっています。
日本では後藤次利らが最初にスラップ奏法を始めたとされており、その後には数え切れないほど多くのベーシストがスラップ奏法を得意として活躍しています。特にこの時期には「スラップ」ではなく「チョッパー」と呼ばれることが多く、この呼び名は日本独自です。
フリー型?マーカス型?スラップの種類
スラップの形には大きく分けて2つあります。1つはフリー型とも称されるもので、ストラップを長くして低い位置でベースを構えるベーシストはこのスタイルが的確です。
特徴としては、弦に対して親指が垂直気味に当たる点、比較的スパスパとキレのいいサウンドが得られる点が挙げられます。
それに対してマーカス型とも称されるスタイルはストラップを短めにして高い位置でベースを構えるベーシストに最適です。
このスタイルは弦に対して親指が平行気味に当たり、サムアップやロータリーなどのテクニックを取り入れやすいです。フリー型に比べて弦をより大きく揺らせるので、低域が出やすいのはサウンド面のユニークなポイントですね。
これらはあくまで大きく分けられているだけで、低くベースを構えてテクニカルなスラップを披露するベーシストや、高い位置でフリーのようにバキバキと叩きまくるベーシストもいます。
多くのベーシストを参考にしていくなかで、自分だけのスタイルが見つけられると思います。
スラップのテクニック
スラップは親指で叩いて他の指で弾く非常にシンプルな奏法ですが、その実テクニックは奥が深くそれらを駆使することで人に驚きを与えられる奏法でもあります。
いくつかのテクニックを紹介します。
サム(サムピング)
主に低音弦を親指で弾くことをサムピング、サム、と言います。プル(プリング)に比べると地味な音ですがアンサンブルを支えるのはサムによる低音です。ここを習得しなければ本番ではスラップはできないので努力して習得しましょう。
プル
人差し指や中指で主に高音弦をはじくことをプリング、プル、と言います。攻撃的な音が出やすい反面、アンサンブルの中で求められるベースの役割からは一部逸脱しがちです。
サムに比べると音が出やすいので、習得は難しくないでしょう。このテクニックは通常のフィンガープレイの中でも活かせるはずです。
サムアップ
サムピングは弦に対して指を振り下ろしますが、サムアップは弦を下からすくい上げるようにして弾くものです。これを繰り返すことでピック弾きのようなエイトビートを奏でることも可能です。
奏法の特性上、フリー型のように弦に対して垂直に親指を振り下ろすスタイルではサムアップを行うことは難しく、またストラップを長くした場合も同じく難しいです。
ロータリー
サムダウン、サムアップ、プル、これら3つの動作を連続して行う奏法をロータリー奏法と言います。3連譜や6連譜といった少しトリッキーなリズムに当てはめやすく単純な速さも出しやすいので、非常に派手に響きます。
ダブルプル
文字通り、連続でプリングを行う奏法をダブルプルと言います。特に16分音符や32分音符で行われることが多く、人差し指と中指で連続してプリングを行う必要があります。
スラップの参考にしたいお手本プロベーシスト
一昔前はラジオから流れるスラップのフレーズを聞いて、「これはどうやっているんだ」と四苦八苦したそうですが、現在はインターネット上でビデオを無料で見られます。お手本とするべきベーシストのビデオから、スラップのテクニックを効率的に学びましょう。
FLEA (Red Hot Chili Peppers)
世界的なロックバンドRed Hot Chili Peppersのフリー(FLEA)は言わずと知れたベースヒーローで、一般のリスナーにもスラップ奏法を広く知らしめたのは彼だと言っても過言ではありません。
特にロックにスラップ奏法を取り入れたのは革命的で、多大な影響を及ぼしました。
彼はただ奏法が革新的であっただけではなく、ロックにファンクのテイストを大きく取り入れた点も特徴的でした。当時のオルタナシーンをグイグイと牽引して、後進のミュージシャンに大きすぎる道を作ったのはあまりにも偉大です。
Marcus Miller
マーカス・ミラー (Marcus Miller)はジャズを中心に活躍するレジェンドベーシストです。彼はジャズにエレクトリックベースを大きく取り入れた点も高く評価されていますが、スラップ奏法の開拓者、革命者としても偉大です。
32分音符や6分譜といった速いリズムを自在に操り、その中に高度なスラップテクニックを織り交ぜます。
Mark King
フュージョンバンド、Mr.Pinkのベーシストであるマーク・キング (Mark King)はド派手なスラップテクニックを操る名手として高い人気があります。
サムアップなどの細かなテクニックはほとんど使わず、サムダウンとプリングをメインにしてマシンガンのようにスピーディなスラップを披露します。
スタイルは非常にユニークですが、全てのベーシストが参考にするべきエッセンスを持ったベースヒーローです。
おすすめのスラップ基礎練習
スラップには多くのテクニックが存在しますが、重要なのは基本であるサムピングとプリングです。特にサムピングは音を出すことが難しいので、多くの練習が必要です。
おすすめの練習法は、地味ですがBPMを100程度に設定して、その上でサムピングで8ビートを演奏することです。ここでサムピングの音が安定して出せるようになって初めてプリングを練習するのがおすすめです。
プリングはサムの後に来ることがほとんどで、セットで指と腕がどのように動くのかを考えながら練習しましょう。こちらも、BPMを100程度にセッティングして8ビートでサムピングとプリングを交互に行うのがおすすめの練習方法です。
地味ですが、ほとんどのスラップフレーズはこれが全てです。これができなければ高度なテクニックの習得は不可能なので、まずはサムピングとプリングの習得に注力しましょう。
おすすめのスラップ練習曲
基礎的な練習と同じように大事なのが、曲の中でどのようにスラップのサウンドを活かすのか、アンサンブルの中でどのようにプレイすればスラップが効果的にサウンドするのかです。
スラップを習得した初心者の方のために、コピーすることをおすすめしたい曲を紹介します。
Higher Ground / Red Hot Chili Peppers
スティーヴィー・ワンダーのカバー曲であるこちらにはフリーらしいスラップテクニックが存分に詰まっており、スラップの練習に最適です。
特にイントロ〜Aメロのフレーズはシンプルで基本的な部分なので、ここを完璧に演奏ができるように繰り返し練習することで、さらに高度なテクニックの習得にも役立つと思います。
POW / Graham Central Station
レジェンドベーシストであるラリー・グラハムのバンドによる、ファンクの名曲です。
この曲にはサムアップのテクニックも含まれるので、もしもそれを習得しようとしているのであればまさにうってつけの曲でしょう。イントロ〜Aメロ部分だけでもコピーするといいと思います。
Run For Cover / Marcuss Miller
スラップを駆使したベースを曲の中枢に据えているのがこちらです。32分音符を取り入れたフレーズも含まれているため難易度は低くありません。しかし、この曲を弾き切れるようになった時には高度なテクニックを習得していると言ってもいいでしょう。
一つの目標にこの曲を置いて、練習をするのは悪くないと思います。
まとめ
本記事ではスラップの概要や種類、参考にするべきアーティストや曲、練習方法などについて記載しました。
スラップは習得不可能なテクニックではありません。地道に取り組めば必ず演奏できるようになるので、この記事を参考にして練習してみてください。
また、こちらの記事ではベース初心者の弾き方の基本について解説しています。ぜひこちらもチェックしてみてくださいね。
嵯峨駿介 /
ビギナーズ編集部 ライター
23歳でベース専門店Geek IN Boxを立ち上げ。海外ブランドとの取引経験が豊富でアメリカ、ヨーロッパ、中国などの主要ギターショウに参加。ベースマガジンなどの専門誌や、ウェブメディアなどへの寄稿多数。※本記事の内容は嵯峨駿介個人の意見、知識を基に執筆しております。所属するベーシック株式会社及びGeek IN Boxの総意を代表するものではありません。