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電気料金の仕組みについて|計算方法を知れば安くできる!

電気料金の内訳は、基本料金と電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金です。基本料金は電力会社によりアンペア制と最低料金制があり、なかには無料の会社もあります。電気料金の仕組みと計算方法、安くする方法について解説します。
電気料金の仕組みについて|計算方法を知れば安くできる!

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家電に囲まれた現代の生活で電気は欠かせません。店舗やオフィス、工場でも電気は必要不可欠です。電気は石油や石炭、天然ガス、水力、地熱やバイオマスなどをエネルギーにして発電しています。

日本は化石燃料を使用する火力発電の割合が高く、燃料費の影響を受けやすい傾向があります。そのため、電気料金が上昇しやすく、世界でも日本の電気料金は高い水準でした。しかし、2016年に本格的に始まった電力自由化により、電気料金は下がってきています。

そもそも電気料金はどのような仕組みで計算されているのでしょうか?また、もっと安くする方法はないのでしょうか?この記事では、電力自由化後に新しくなった電気料金の仕組みや内訳、電気料金の計算方法について解説します。

電気料金を安くする方法もご紹介しますので、参考にしてください。

電力自由化で変わった電気料金の仕組み

電気料金の仕組みは電力自由化で大きく変わりました。電力自由化の前後で、どのように変わったのか解説します。

電力自由化前は総括原価方式

電気は生活に欠かせないインフラであるため、安定的な供給を最優先に次の原則が守られていました。必要な原価を基に電気料金を算定すること、事業者の報酬は必要で公正であること、公平な電気料金であることの3つです。

そのため自由化前はトータルコストが電気料金と等しくなる「総括原価方式」を採用していました。トータルコストには燃料費や人件費、営業費、支払利息、配当などが含まれます。

総括原価方式は、必要な経費を電気料金に反映できる仕組みです。しかし、電気の供給は電力会社が地域を独占していたため、競合する会社がなく、電気料金は高いままでした。

電力自由化後は事業者の裁量が加わる

電力自由化後は、事業者の経営手腕で費用を計上できる部分と法令などで決定される部分の2つに分けられました。事業者の裁量で算定できるのは、電力供給事業を行うのに必要なコストです。

このコストには、燃料費や設備の修繕費、減価償却費、人件費、広告費用などが含まれます。法令などで決定される部分は、再生可能エネルギー発電促進賦課金や使用済燃料再処理等発電費相当額などのほか、法人税や消費税などの税金があります。

法令などで決定される費用は変えられませんが、他の費用は経営努力で削減可能です。そのため、電力自由化で参入した新電力会社を中心に、料金値下げの動きが進んでいます。

電気料金の構成要素

電気料金の構成は大きく基本料金と電力量料金、再生可能エネルギー発電促進賦課金の3つで成り立っています。それぞれの内容を解説します。

1.基本料金

基本料金は、電力の使用有無にかかわらず、固定料金として支払うものです。電力自由化後にできた新電力会社には、基本料金がないところもあります。基本料金の計算式は「料金単価×契約容量/電力」です。

2.電力量料金

電力量料金は、実際に使用した電力量で算出されます。電力会社により、使用量に応じて段階的に料金単価が高くなる「従量電灯」や、時間帯または季節で料金単価が変わるものもあります。

電力量料金の算定式は「料金単価×使用電力量+燃料費調整単価×使用電力量」です。燃料費調整単価とは、火力発電に使用する燃料費の輸入コストなどに応じて電気料金を調整する金額のことをいいます。

3.再生可能エネルギー発電促進賦課金

太陽光や風力、水力、地熱など再生可能エネルギーの発電量を増やすため、法令で定められた買い取り制度に必要な費用を、消費者が電気料金に加算して負担する賦課金です。単価は決まっていますが、毎年見直しが行われます。

いくらになるのかは使用電力量に左右され、算定式は「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×使用電力量」です。

基本料金は電力会社で異なる

基本料金は、電力会社により「アンペア制」と「最低料金制」に分かれます。基本料金0円プランの新電力会社もあるので、それぞれ内容を解説します。

アンペア制

アンペア制は、契約しているアンペア数に応じて基本料金を決める仕組みです。北海道電力・東北電力・東京電力など6電力会社が該当します。

アンペア契約は10A・15A・20A、以降は10A刻みで60Aまでプランが選べます。同じ地域で事業を展開している新電力会社も同じくアンペア制です。

最低料金制

最低料金制には、固定費用として一定の電気使用量分があらかじめ含まれています。関西電力・中国電力など4つの電力会社が該当します。同じ地域で事業を展開している新電力会社も同じく最低料金制です。

基本料金0円

基本料金もしくは最低料金が0円になるプランを導入している電力会社もあります。新電力会社のうち「Looopでんき」「ソフトバンクでんき」「楽天でんき」などが該当です。

電力量料金は使用量で決まる

電力量料金の内訳において1kWhあたりの単価は様々ですが、使用電力量に応じて算定されるのは同じです。料金単価の設定について解説します。

各電力会社のプランで変わる料金単価

電力量料金の単価は各電力会社で異なります。例えば東京電力の1kWhあたりの単価は、120~300kWhの消費量であれば26.48円ですが、東北電力は同じ120~300kWhの消費量で25.33円です。

大半は使用量が増えるほど単価は高くなる

基本的に一般家庭で契約するプランは、消費量のレベルに応じて単価が高くなる仕組みです。多くは3段階に分かれます。東京電力の場合、電力消費量が0~120kWhは19.88円、120~300kWhは26.48円、300kWh以上は30.57円です。

燃料費調整単価は毎月変動する

燃料費調整単価は、燃料価格の変動により毎月単価が改定されます。同じ地域の新電力会社も単価を同じにするのが一般的です。

再生可能エネルギー発電促進賦課金は全国一律

太陽光や風力、水力などの再生可能エネルギーの自給率は、エネルギー全体の約1割といまだ低い状態です。消費者から賦課金を集め、再生可能エネルギーを買い取る電力会社を通じて発電事業者に届けることで、再生可能エネルギーの自給率向上を目指しています。

賦課金の単価は年度ごとに全国一律で決められ、どの電力会社でも同じです。ただし、電力量料金と同じく、月々の使用電力量に左右されます。

電気契約メニューは3つの供給電圧で区分

電気の供給契約をする際は、供給電圧による区分が3つあります。各電力会社でそれぞれの区分に合わせた電気料金メニューが選べるので、代表的な例をご紹介します。

特別高圧(大規模工場・ビルなど)

特別高圧は2万ボルト以上で、大規模工場やビルなどが該当します。電力需要全体に占める比率は約28%です。

例えば東京電力の場合、商業ビルなどの業務用と大規模工場などの産業用があります。それぞれ、季節や昼夜の時間帯で単価の変わるメニューが選べます。

高圧(中規模工場・ビル・商業施設など)

高圧は6,000ボルトで、中規模工場やビル、商業施設、スーパーなどが該当します。電力需要全体に占める比率は約36%です。

東京電力の場合、商業施設やスーパーなどの業務用と中規模工場などの産業用があります。こちらもそれぞれ季節や昼夜の時間帯で単価の変わるメニューがあり、夜間や休日に使用量が多ければお得です。

低圧(一般家庭・小規模店舗など)

低圧は100・200ボルトで、一般家庭や商店など小規模店舗などが該当します。電力需要全体に占める比率は約36%です。

低圧は一般家庭に多い「電灯契約」と、商店などで利用される「動力契約」があります。電灯契約は電化製品や照明に使用するもので、代表例は従量電灯メニューです。動力契約は業務用冷蔵庫や空調設備などに使用し、代表例は低圧電力メニューです。

従量電灯は先述した通り、電気の使用量が多いほど高くなり、低圧電力は夏期の単価が高くなります。店舗兼住宅の場合、電灯と動力の2つの契約を結べます。

参考:電力調査統計 結果概要 【2018年度分】

電気料金を計算する方法

それでは、一般家庭で電気料金を計算する方法について解説します。契約している電力会社によってアンペア制と最低料金制に分かれるので、それぞれ計算してみましょう。

基本料金がアンペア制の場合

アンペア制を採用しているのは、北海道・東北・東京電力のほか、北陸電力、中部電力、九州電力です。電気料金は「基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金」で計算できます。

例えば、東京電力で20Aを契約し、1ヶ月の電力使用量が250kWhだとします。その場合、基本料金は、572円+26.48円×250kWh=7,192円です。

燃料調整費も加算するため、単価が-2.11円とすると、-2.11円×250kWh=-527.5円。再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価が2.98円だと、2.98円×250kWh=745円なので、電気料金は7,409.5円です。

基本料金が最低料金の場合

最低料金制を採用しているのは関西・中国電力のほか、四国電力、沖縄電力です。電気料金の計算式は、アンペア制と変わりません。以下に具体的な算出式を記載するので、参考にしてください。

例えば、関西電力の従量電灯Aで、1ヶ月の電力使用量が250kWhだとします。その場合、基本料金は、341.01円+25.71円×250kWh=6,768.51円です。

燃料調整費の単価が-0.13円とすると、-0.13×250kWh=-32.5円。再生可能エネルギー発電促進賦課金は745円なので、電気料金は7,481.01円です。

電気料金を安くする方法

電気料金の仕組みが分かれば、料金を安くする方法も分かるはずです。一般家庭の場合は、主に次の3つが考えられます。

基本料金が安い電力会社を選ぶ

アンペア制・最低料金制を含め、基本料金が安い電力会社を選びます。特に、新電力会社は基本料金0円や、現在より一律5%安くなるプランなどがあるのでお得です。

電力量使用量でお得な電力会社を選ぶ

電気料金で差がつくのは使用量で、使用量に応じた単価がお得な電力会社を選ぶと効果的です。新電力会社は使用量に合わせ、300kWh以上の方が安い単価だったり、1人暮らしにお得なプランが選べたりします。

アンペア数を下げる

基本料金がアンペア制の電力会社限定ですが、アンペア数を下げて契約すると電気料金が安くなります。しかし、上記2つの方法とは異なり、使用量を下げる必要があることは覚えておきましょう。

電子レンジとドライヤーを同時に使用しないなど、ブレーカーが落ちないよう気をつけなければなりません。

まとめ

電気料金を算定する仕組みは電力自由化で大きく変わり、新電力会社を中心に料金を下げる動きが進んでいます。一般家庭の場合、電力会社によって基本料金の仕組みが異なり、新電力会社の中には基本料金0円というプランもあります。

電気料金を安くするには、基本料金や電力使用量による単価がお得な電力会社を選ぶとよいでしょう。契約アンペアを下げるのも有効です。しかし、必要以上に下げ過ぎると使用量がアンペア数をオーバーし、ブレーカーが落ちるため注意してください。

こちらの記事では、電力会社10社の電気料金を比較しています。電気代を安くしたい方は、ぜひこちらの記事も確認してみてくださいね。

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