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ベースの選び方をプロが解説|初心者が気をつけたいベースの選び方とは?

エレキベースを始めようと思った時に困る選び方について、プロの現役楽器屋店員が楽器の構造や種類などに分けて解説します。初めてのエレキベースの選び方に限らず、2本目3本目の選び方の参考にもしてみてください。
ベースの選び方をプロが解説|初心者が気をつけたいベースの選び方とは?

※当記事はアフィリエイト広告を含みます。

以前よりもベーシストの知名度や人気は高まっているように感じており、したがってエレキベースを始めたいと思う方も多くいるのではないかと思います。実際にお店にもエレキベースを求めて多くのお客様がいらっしゃいます。

しかし、お話を聞くとみなさんが困っているのは「選び方」です。エレキベースを手にしたことがない方や、始めて1年や2年ほどの方はまだ知識が少ないことが多いです。そのため、自分に最適なエレキベースを独力で選ぶことは難易度が高いことがほとんどです。

そんな方々が最適なエレキベースを選ぶことができるようになることを目的として、本記事を作成いたしました。

エレキベースの選び方の基準とするべき項目

エレキベースを選ぶ時には、いくつかの項目に分けてそれぞれで自分に適したものを考える必要があるように感じます。

具体的には見た目、音、価格帯、弦の数、スケール、パッシブかアクティブか、フレットレスか否か、などです。これらの内容について解説いたします。

見た目

最も大事な要素の1つが見た目です。例えば自分が好きな色で選んでしまうのは全く悪い事ではありませんし、なんとなく見た目でクールだと思った楽器を選ぶことも同じく悪い事ではありません。

エレキベースを始める理由は人によって様々あると思いますが、少なくない人が「ミュージシャンに憧れたから」という理由を持ってエレキベースを始めています。

そうした場合、本来であれば憧れのミュージシャンと同じエレキベースを手に入れたいと考えると思いますが、往往にしてプロミュージシャンが使う楽器は高価です。

であれば、少しでも見た目が近いものを手に入れたいと思うことは自然で、そのような選び方も素晴らしいと思います。

実際に楽器店で働いていますが、プロミュージシャンの方が「なんか赤くてかっこいいから」という理由でエレキベースを購入してくれたこともあります。見た目でどのエレキベースを購入するかどうかを選ぶことは、決して間違いではありません。

見た目に加えて考慮してみてもらいたい要素を加えて解説いたします。

エレキベースは音楽を演奏するために音を出すことを目的としているので、当然ながら音は非常に重要な要素です。

例えば、ヘヴィメタルなどで使われる強くてタイトな低音を求める方と、ソウルやポップスなどで使われるソフトな低音を求める方では適したエレキベースは異なります。

プロミュージシャンがCDなどに使う音源を作るとき、音の質の高さでエレキベースを選ぶのは言うまでもありません。音の方向性、そして音の質の高さ、この2点を具体的に考えてみるのがおすすめです。

「音の質の高さ」は人によって好みが分かれる」という意見もありますが、例えばノイズの少なさの話で言うと誰にとっても少ない方がベターなはずです。また、あなたのエレキベースの演奏を聴く人にとってより質の高いものを目指すこともあると思います。

価格帯

エレキベースを購入しようと思った時に、予算が絶対的に付きまといます。「いくらのものを購入すればいいですか?」と聞かれることがよくありますが、その質問には「予算の上限でときめくものを」とお答えします。(もちろんそうしたベースをお探しします)

そうした点は前提として、初心者の方にとって大事な要素の1つは弾きやすさだと私は思います。そうした意味で考えると、購入したエレキベースが弾きやすく調整されている必要があります。

それでは、どうした価格帯のエレキベースが弾きやすく調整された状態で販売されるのでしょう?

例えば、1万円のエレキベースについて考えてみましょう。往往にして、弾きやすいものではありません。メーカーが楽器店向けに出荷する時は一定の規格に則って各パーツがセッティングされますが、この時点で弾きやすい状態にすることはできません。

理由は、音が出ない、もしくは出づらいフレットがあるとクレーム、返品に繋がるからです。そのような問題が起こらないようにセッティングをすると、弾きやすさは低下します。

安価な楽器には人件費を含めたコストがかけられないので組み込みの精度が低く、まずそもそも弾きやすくセッティングをすること自体が難しいこともあります。

また、1万円で楽器店が販売する時に、楽器店の利益率が30%だとすると粗利は3000円しかありません。3000円の利益しかもたらしてくれない楽器に対して、人件費をかけて弾きやすく調整することは不可能です。

以上を理由として、安価な楽器は高価な楽器とは相対的に弾きづらいことが多くあります。それであれば、いくらぐらいの価格であれば弾きやすいものが得られるのか、というと5万ほどがラインになってくるかと思います。

5万円ほどの楽器であれば輸入時の検品のクオリティ、基礎的なクオリティ、楽器屋さんの扱いのクオリティ、これらが初心者の方にとって安心できるものになってくるかと思います。

ちなみに、信頼できる楽器店で中古の楽器を購入することもおすすめです。中古の楽器は基本的に全てしっかりと調整をして出荷されることが多い点が理由です。

弦の数

もともと、エレキベースは4本の弦を張るのが一般的でしたが、近年では5弦ベースも一般的になってきました(6弦ベースや7弦ベースも存在します)。5弦ベースを愛用するアーティストも多く、演奏したいと思った曲が5弦ベース出なければ演奏できないこともあります。

特別な理由がなければ4弦ベースで問題がないのではないかとは思いますが、もしも5弦ベースを使用するアーティストを好きで、彼らの曲を演奏したいと考えているのであれば5弦ベースを選ぶのは必然的だと思います。

「4弦ベースも弾けない初心者なのに5弦ベースを買ってもいいのか?」という質問をいただくことがあります。答えとしては、いきなり5弦ベースを買っても問題ありません。

弦の数によって難易度が変わることはありません。ギターは6弦ですし、バイオリンは3弦ですし、ハープは47本の弦が張られます。もしも欲しければ安心して5弦ベースを買ってください。

スケール

スケールとは、ナットからブリッジのサドルの距離を示すものです。一概には言えませんが、スケールが長くなるほど楽器のサイズは大きくなりネックが長くなります。

一般的なスケールは34インチですが、世の中には30インチスケールのエレキベースも35インチスケールのエレキベースも存在します。

手が小さいから短いスケールを選ぶべきという意見もありますが、私はまずは一般的な34インチのエレキベースの購入をおすすめします。

理由としては、まずはスタンダードに慣れるべきだということ。そして身長150cmの子供も200cmの大男も同じ34インチのエレキベースを演奏している実例があるということです。

34インチのエレキベースを買って指が届かず、もっと短いものを買えばよかったと思うことがあるかもしれません。しかし、基本的に指が届かないのはエレキベースではなくプレイヤー側に問題があります。

パッシブかアクティブか

これはパッシブサーキットとアクティブサーキット、どちらを搭載したエレキベースを購入するかということです。これらをパッシブベース、アクティブベースと呼び分けます。

パッシブベースは従来のエレキベースが採用してきたもので、柔らかくソフトな音、今までに聴き慣れた音だと感じられると思います。それに対してアクティブベースは多彩な音作りと広いレンジ感によってモダンな音に感じられます。

アクティブベースがアグレッシブなサウンドに感じるのには理由があります。それは、プリアンプを搭載しているために派手な音色が作りやすいからです。

プリアンプはイコライザーを備えたもので、これが搭載されたアクティブベースは本来アンプやエフェクターで行わなければならない音作りがエレキベース単体で行えます。

また、プリアンプを通した信号はインピーダンスの違いによってノイズや音質劣化に強く、音質劣化が目立つパッシブベースに比べて強い信号だと言えます。(音質劣化が必ずしもネガティブな訳ではありません)

ちなみに、プリアンプは電池を使用して動作するのでアクティブベースの中には電池がないと音が出ないものもあります。

フレットレスについて

エレキベースはもともとコントラバスの代用品でした。コントラバスは指板にフレットがないので音程を取ることが難しく初心者が演奏することは難しいものでした。

しかし、フェンダーが発売したプレシジョンベースは軽量で小さく、また指板にフレットがついているので音程を取ることが容易でした。プレシジョンベースの名前は正確な(Precision)と言う英単語からつけられたものです。

エレキベースからフレットを取り除くのは言わば昔のスタイルを取り入れることですが、その存在意義は多くのベーシストに支持されています。

ジャコ・パストリアスやミック・カーンなど、フレットレスをメインとして使用して絶大な人気を獲得したベーシストもいます。彼らのようなベースプレイを目指すのであれば、最初からフレットレスベースを購入してもいいと思います。

エレキベースの種類

エレキベースは多種多様な種類があります。それゆえに選び方が難しい訳ですが、ある程度フォーマットとなっている定番モデルが存在します。

フェンダー プレシジョンベース

1951年にフェンダーが発売したのがプレシジョンベースです。これは世界初のフレット付きソリッドエレキベースとして知られており、現在でも多くのミュージシャンが愛用しています。

実は現在も見慣れたプレシジョンベースのスタイルになったのは1957年のことで、それ以前のプレシジョンベースはオリジナルプレシジョンベース(OPB)として明確に分けられています。ちなみにOPBはポリスのスティングなどが愛用していることで知られています。

あらゆるジャンルで愛されていますが、特にパンクロックにおいては絶大な人気があります。

関連記事:おすすめのプレシジョンベース|現役楽器屋店員が厳選・紹介!

フェンダー ジャズベース

1960年にプレシジョンベースの上位機種として発売されたのがジャズベースです。スリムなネック、左右非対称のボディ、2基搭載されたシングルコイルピックアップがプレシジョンベースとの主な違いです。

プレシジョンベース同様にあらゆるジャンルで愛されているジャズベースですが、特にスラップ奏法を好むベーシストには強く支持されています。

プレシジョンベースに比べて、5弦ベース、アクティブベースといったスタイルを取り入れているモデルが多いのも特徴的です。

ミュージックマン スティングレイ

フェンダーを創業したレオ・フェンダーがフェンダーの後に立ち上げたのがミュージックマンです。スティングレイはアクティブサーキットや大型のハムバッキングピックアップを搭載しており、そのパワフルなサウンドは多くのミュージシャンを魅了しました。

発売は1970年代ですが、現在でも愛用しているミュージシャンは多く、現代の定番ベースとして愛されています。

特に1990年代から2000年代のオルタナティブシーンではあらゆるベーシストがスティングレイを愛用しました。

例えば、レッドホットチリペッパーズ、レイジアゲインストザマシーン、リンキンパークといったバンドのベーシストはスティングレイを愛用していることで知られます。

リッケンバッカー 4003

ビートルズのポールマッカートニー、イエスのクリススクワイヤなどが愛用したことで知られるのがリッケンバッカーの4003です。

ユニークなルックスが特徴的で、フェンダーやギブソンのベースとは全く異なるデザインです。サウンドは丸く太く、昔っぽさを感じると思います。

ギブソン SGベース

SGは数あるギブソンのギターの中でレスポールと並んで愛される名機です。SGベースはそのSGのベース盤で、クリームのジャックブルースなどが愛用しました。

どこまでも広がる低音の海のようなサウンドが特徴的です。現行品のクオリティも悪くないのですが、実はヴィンテージの値段が手の出しやすい価格に落ち着いているのでそちらもあわせておすすめです。

ギブソン サンダーバード

ギブソン製のベースというと、一番有名なのはサンダーバードだと思います。こちらはモトリークルーのニッキーシックスが愛用していることで有名ですね。

特徴的なルックスですが、これはデザイナーがギター業界ではなく車業界の出身だった故のものです。

粘りのある低音が特徴的で、やはりロックミュージックで広く愛されています。

まとめ

本記事ではエレキベースの選び方について、いくつかのチェックするべき項目を含めてお伝えしました。

紹介したいくつかの種類のエレキベースはあくまで定番であって、あなたに最適なものかどうかはわかりません。あくまで参考にして、自分にぴったりのエレキベースを探してみてください。

こちらの記事では、ベースの種類・形・メーカーや初心者おすすめモデルを徹底解説しています。初心者オススメモデルが知りたい方必見です。

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嵯峨駿介 /
ビギナーズ編集部 ライター

23歳でベース専門店Geek IN Boxを立ち上げ。海外ブランドとの取引経験が豊富でアメリカ、ヨーロッパ、中国などの主要ギターショウに参加。ベースマガジンなどの専門誌や、ウェブメディアなどへの寄稿多数。※本記事の内容は嵯峨駿介個人の意見、知識を基に執筆しております。所属するベーシック株式会社及びGeek IN Boxの総意を代表するものではありません。

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