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ベースのテクニック”ゴーストノート”とは? 弾き方や練習方法について紹介

ベースのスラップやフィンガーのテクニックとして有効なゴーストノートについて解説。概要や弾き方、演奏方法、使われている曲などについて説明いたします。
ベースのテクニック”ゴーストノート”とは? 弾き方や練習方法について紹介

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パーカッシブなベースプレイにはゴーストノートと呼ばれるテクニックが必須です。特にスラップにおいては非常に重要なテクニックで、使いこなせるかどうかでプレイスタイルは大きく変わってくると言って間違い無いでしょう。

今回の記事ではゴーストノートの概要、弾き方、練習方法、使われている曲について解説・紹介いたします。

ゴーストノートとは

ゴーストノートとは「ブッ」「カッ」といった実音を伴わないアタック音のみが出る演奏方法です。

そのため、フレットを押さえて出す音ではありません。このことから、TAB譜では数字ではなく「×」という記号で表現されます。

ゴーストノートを出すということは、基本的には実音は途切れることになります。ですので、より細かなグルーヴが生まれることがこの奏法の特徴です。

基本的には16ビートのグルーヴと相性が良く、ぴったりとハマると演奏している側も、聴いている側も心地よいサウンドです。

ゴーストノートを取り入れることで、スピーディーでスリリングなグルーヴが出しやすくなります。ただし、ゴーストノートは単体で使ってもあまり意味がなく、実音とのコンビネーションがあってこそ真価を発揮します。

ゴーストノートの弾き方

ゴーストノートはミュートとセットで行う奏法だといえます。その上で、演奏方法には大きくふたつの方法があります。それは、左手のタッチで出すものと右手のタッチで出すものです。

基本的には実音が伴わないためにゴーストノートは音量が出ません。だからこそ、適切なタッチが必要な奏法だといえます。

そして、その音はアンプを通さなければ非常に聞きづらく、生音だけで練習していてもコツを掴むのは難しいです。可能であればアンプを通して練習してください。

右手のタッチで出すゴーストノート

基本となるのが右手のタッチで出すゴーストノートです。方法は、左手で弦をフレットに押さえない程度、だがピッキングしても音は出ない程度に触ります。

そうして弦が大きく振動しない状態で、右手で強めにピッキングします。この際のフォーム自体は通常のフィンガーピッキングと同様で問題ありません。

実際に弦を弾いてみると、弾いた瞬間のみ「ブッ」と音が出るのがわかると思います。この音がゴーストノートです。また、この奏法の特性上通常時と同様に弦を右手で振り切る必要はありません。

強めに弦に指を振り下ろすだけでもアタック音は出ます。弦を振り切るゴーストノートと、振り切らないゴーストノートを併用することでよりスピーディーでパーカッシブなグルーヴが得られます。

フィンガーピッキングによるゴーストノートは、ピッキング位置によっても雰囲気が大きく変わります。

基本的には右手で強めの力を入れなければなりませんが、強めの力で細かくピッキングをするのであれば少しブリッジよりでピッキングするのがおすすめです。ネックよりだと弦が揺れやすく、なかなかタイトな出音にならないのが理由です。

スラップの際にも左手は同様に弦をミュートして、通常時と同じように弦をピッキングします。サムでもプルでも、どちらでも適切な音が出せるように練習するべきです。

左手のタッチで出すゴーストノート

右手のタッチで出すゴーストノートよりも、左手のタッチで出すゴーストノートの方が難易度は高いです。スラップ時にはこちらの奏法を使うことが多いです。

方法は、4本全ての指で全ての弦を「パンッ」と叩きます。右手でのゴーストノートはピックアップの位置が近いために音量を出しやすいのですが、こちらはそうでは無いので音量が出づらいです。

音量が出づらい奏法であるが故に、同時にいくつかのアタック音を出すのがコツです。全ての弦を全ての指で叩くのはこのためです。

ゴーストノートの練習方法

ゴーストノートの音を出すこと自体、難易度は高くないでしょう。大事なのは実音を使っている通常のグルーヴとのコンビネーションを構築することです。ですので、まずは8分音符で実音とゴーストノートを交互に演奏してみてください。

スケール練習中に、ゴーストノートの練習を組み込むのは有効だと思います。実音とゴーストノートを1音ずつ繰り返す、2音ずつ繰り返す、などいくつかのパターンで練習しましょう。

8分音符でのコンビネーションになれたら、16分音符を使った16ビートのグルーヴにもトライしましょう。8分音符の実音を1つ出した後に16分音符のゴーストノートを2つ、これを1拍としてさまざまなスケール、さまざまなポジションで練習しましょう。

曲の中で使うのであれば、普段演奏している楽曲の中で1拍目以外の音のどこかをランダムにゴーストノートに入れ替えてみましょう。

ベースはコードの内容や進行を示すのが音楽の中での大きな役割です。そのため、コードの入れ替わりが多い1拍目に実音がないゴーストノートを使うのは基本的には避けた方がベターです。

同様の理由で、コードの移り変わりの頭にはゴーストノートを使うのは避けましょう。

スラップにおけるゴーストノートの練習であれば、まずは普段練習しているスラップのフレーズをゴーストノートのみで演奏してみましょう。左手はミュートしたまま、右手だけを動かします。

楽曲と一緒にこれを練習すると、ドラムとのコンビネーションがうまくいっているかどうかも非常にわかりやすいです。

同様の理由で、ドラムの音を右手のスラッピングでコピーするのもおすすめです。もちろん実音は出さず、ゴーストノートで演奏するのが大事です。副次的ですが、スラップのグルーヴが苦手な方はこの練習は非常におすすめです。

左手のゴーストノートについてはやはりスラップと組み合わせて練習するのがおすすめです。右手でE弦の開放音を出して、それを左手で叩いてミュート、これを8分音符で繰り返しましょう。

この奏法はポピュラーなので、使い所はたくさんあると思います。これと右手のゴーストノートを組み合わせるのがコツです。例えば、右手で開放弦アタック→左手でアタックしてそのままミュート→右手でミュートされた弦をアタック、など、コンビネーションの数は無数です。

ゴーストノートを得意とするアーティスト

ゴーストノートを練習する上で、参考にするべきアーティストを紹介します。彼らはゴーストノートを使ったグルーヴプレイが得意で、あらゆる場面でその活躍がみられます。

Joe Dart

Vulfpeckというファンクバンドで活躍する、新しいベースヒーローがJoe Dartです。彼は16ビートでのベースプレイを得意としており、速いBPMでもブレない強さを持ちます。

強靭で素早いフィンガーピッキングを得意とするベースプレイですが、ゴーストノートの音が非常に特徴的です。

ミュージックマン スティングレイを使っている彼ですが、だからこそブリッジ寄りでのピッキングがほとんどです。そして、そのピッキングが非常に強力であるが故に本来音量が出づらいゴーストノートにも実音同様に迫力と存在感があります。

彼のようなゴーストノートを出したければ、ブリッジよりのポジションで強靭なピッキングが必要です。この力強さを手に入れられたら、普段のベースプレイのも大きなメリットがあると思います。

ぴんはげ

ぴんはげさんはYouTubeを中心に活動する日本のベーシストです。ベースというニッチなジャンルでありながらチャンネル登録者数は18万人以上。

イタリアのベースブランドAlusonicからシグネイチャーモデルをリリースするなど新時代のミュージシャンとして活躍しています。

彼は高いテクニックとスピーディーなグルーヴが特徴的で、多くの場面でゴーストノートを使いこなします。スラップ、フィンガー、ともにゴーストノートの取り入れ方がたくみです。

ゴーストノートが使われている曲

ここからは、実際にゴーストノートが使用されている曲を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

Suspended 4th / ストラトキャスター・シーサイド

スラップでゴーストノートが使われている曲はたくさんありますが、ぜひみてもらいたいのがSuspended 4thのストラトキャスター・シーサイドです。福田 裕務さんのベースは激しさが特徴的ですが、プレイは実にグリーヴィーでパワフルです。

手数の多いベースプレイで、テンポは早め。細かなフレーズの中には多くのゴーストノートが含まれています。これだけスリリングでアッパーなグルーヴが生まれているのは、ゴーストノートを含んだベースプレイが緻密で正確だからです。

小沼ようすけ / The Windjammer

小沼ようすけさんは日本のジャズギタリストで、本楽曲にはベーシストとしてRichard Bonaが参加しています。Richard Bonaは世界でも屈指のテクニックと美しい音楽性を持ったベーシストです。

本楽曲はベースのリフから始まりますが、このリフが素晴らしくグルーヴィーでクールです。ゴーストノートを使って、わずかなシャッフル感のあるアフログルーヴのニュアンスを表現しています。

16分音符を常に弾き続けるような内容なので、右手のトレーニングには本当に最適なリフです。

まとめ

本記事ではゴーストノートの概要や弾き方、練習方法、参考にするべきベーシストや楽曲を紹介しました。

テクニック自体は難しくありませんが、うまく活用してグルーヴを作ることは簡単ではありません。ドラムの音をよく聞いて、楽曲のグルーヴを感じて演奏してみてください。

何度も繰り返せば必ず習得ができるテクニックで、あなたのベースライフをさらに向上させるものであることは間違いありません。

さいごに、こちらの記事ではベース初心者の練習方法や上達するピッキング・スラップ基礎練習について紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

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嵯峨駿介 /
ビギナーズ編集部 ライター

23歳でベース専門店Geek IN Boxを立ち上げ。海外ブランドとの取引経験が豊富でアメリカ、ヨーロッパ、中国などの主要ギターショウに参加。ベースマガジンなどの専門誌や、ウェブメディアなどへの寄稿多数。※本記事の内容は嵯峨駿介個人の意見、知識を基に執筆しております。所属するベーシック株式会社及びGeek IN Boxの総意を代表するものではありません。

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