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ベースの弦の交換方法や交換時期、便利な道具を解説!

消耗品であるベースの弦の交換方法を、弦を外すところからプロが詳しく解説します。また、気になる交換の時期や交換に便利なおすすめの道具を紹介します。
ベースの弦の交換方法や交換時期、便利な道具を解説!

※当記事はアフィリエイト広告を含みます。

ベースの弦は金属疲労や汚れなどによって劣化していく消耗品です。そのため定期的な交換が必要です。この作業は楽器屋さんやギターリペアショップなどのプロに任せることもできますが、当然費用がかかります。

そのため、多くのミュージシャンは自らの手で弦を交換するのが当たり前です。しかし、実際に弦を交換しようとするとその手順はわかりづらく、自己流で行った結果本来のサウンドが手に入らなかったり、せっかく買った弦を痛めてしまったりします。

本記事では数千本のベースの弦を交換してきた私が、初めて弦を交換する方のために詳しく弦交換の方法を解説します。

気になる弦の交換時期や、弦交換の作業におすすめしたい便利な道具についても説明します。これを読んでぜひ自分のベースの弦を自分で、高い質で張り替えられるようになりましょう。

ベースの弦を交換する方法

ベースの弦の交換は、弦を外す、長さを決める、ペグに巻きつける、など多くの手順があります。それぞれを詳しく解説します。

弦を外す

まずは弦を外しましょう。おすすめの外し方は、弦を緩めた上でブリッジのすぐ近くとナット付近をカットして、3つのパーツに分解した上でまとめて外すことです。

弦をブリッジから引き抜くときに気をつけたいのがボディに傷をつけないことです。これを極力防ぐために、ブリッジ付近で弦をカットして引き抜く長さを最小限にとどめます。

また、ナット付近でさらにカットすることで弦をまとめて捨てるときにペグに巻きついていた部分が邪魔になりません。

クリーニング

弦を外したタイミングで、普段掃除ができない部分を掃除しましょう。まず行ってもらいたいのは、フレットの磨き上げです。

指板を汚したくないので、フレットだけが露出するようにマスキングテープでフレットの両側の指板に貼ります。その上で、金属磨きのためのクリーナーなどを布に塗布し、磨きあげます。

これによってフレットは光沢が出て美しい外観が得られます。また、フレットにゴミがついていると弦との摩擦が生じて不適切な音が出たり、演奏性に問題が出たりすることがあります。

全てのフレットを磨きあげたら、指板を磨きます。ローズ指板のように塗装がない場合はオレンジオイルなどのオイルで拭きあげましょう。これによって指板の汚れとフレットの汚れを落とすほかに、木材の保湿ができます。

指板の保湿を行うことで見た目は黒々として高級感のあるものに変化します。また、指板はあまりにも乾きすぎると割れてしまうこともあります。特にエボニー指板は割れに注意してください。

指板がメイプルなどで塗装されている場合は、塗装面の磨き上げのためのポリッシュなどで磨き上げてください。

指板のクリーニングの後に、フレットをからぶきで仕上げて完了です。ボディについても普段弦がある時は触られない部分はポリッシュなどで磨き上げましょう。

ブリッジに弦を通す

弦をブリッジに通す際に気をつけたいのは、ボディを傷つけないことです。ブリッジの弦を通す穴はボディに近い位置にあり、考えなしに弦を通すと弦がボディを擦ってしまいます。

これを防ぐために、ボディを傷つけないことを意識することのほか、ブリッジの後ろの部分に厚紙を貼っておくなどの対策もできます。

なお、ブリッジによっては弦を通す必要のないものもあります。その場合はボールエンドがブリッジから外れない角度になるように気をつけましょう。

弦の長さを決めて、折り曲げて、カットする

弦はペグに適切な長さを巻きつける必要があります。巻きつける長さによってはナットからの角度が足りず、ビビリの原因になることがあります。また、長く巻きすぎてもチューニングが不安定になる要因になります。

具体的には、ペグがフェンダータイプの太いポストなら130mm、多弦ベースやモダンなベースによくある中位の太さのポストなら90mm、アイバニーズなどの極めて細いポストなら60mmを基準にしてください。

長さを決めたら、その部分で真っ直ぐにペグに向けて90度折り曲げてください。ペグの弦をいれる穴の深さを測り、その深さよりも少しだけ短い長さを残して、折り曲げた先をカットします。

カットする部分よりも先の弦は不要なので、捨てて構いません。また、ペグの弦をいれる部分の深さを測るときはこの捨てるであろう部分を差し込んで測るのが楽です。

弦を巻く

カットした弦をペグのポストに入れて巻き上げていきますが、この際ペグのポストは溝が弦と平行になるように真っ直ぐに位置させるのがおすすめです。そうして弦を真っ直ぐにペグにいれて、巻き上げます。

なぜこうするかというと、ポストが弦をペグに真っ直ぐに入れられない角度になっているとその分弦の入れ方を手で調整することになり、その行為が弦がねじれる原因になりうるからです。

弦を巻くときに注意して欲しいのは、ベースを傷つけないこと、そして弦をねじらないことです。弦が捩れるとビビリが起きたり、チューニングが不安定になったりする原因になります。

チューニングをする

弦をある程度まで巻き上げたら、チューニングを行いましょう。4弦、3弦、2弦、1弦、と巻き上げたらもう一度4弦をチューニングします。これを何度も繰り返し、チューニングを安定させます。

また、このタイミングで弦の緩みを取るためにごく緩い力で弦にテンションをかけてください。こうすることで弦の折れ曲がりが自然になり、チューニングの安定性が増します。

ただし、このときに力を入れすぎると弦の芯の部分が折れてしまい、ビビリが起きたり音の質が低下したりします。

弦を張り替えるタイミングはいつがいい?

よくエンドユーザーから質問される内容に、弦交換の時期があります。これは人によって異なるために答えづらいのですが、もしも毎日演奏するのであれば1ヶ月に1度の交換をおすすめしています。

プロのベーシストがどれぐらいの頻度で変えているかというと、もちろんこれも人によるのですが、平均するとツアーの中で2ステージに1回程度でした。

1ステージ2時間、リハーサルや練習で2時間演奏するとすると、10時間の演奏で1回交換していることになります。

また、エリクサーのようなコーティング弦は長く弾いていてもフレッシュな状態が保たれることで有名です。コーティング弦はノンコートの弦よりもおおよそ3倍程度の寿命は期待できます。

コーティング弦は高価ですが、コストパフォーマンスとしては優れていると言えます。実際にプロの中にはひとつのツアーをコーティング弦を使用して弦交換なしで乗り切る方もいます。

ただし、これはもちろん人によって異なることはご理解ください。

弦が劣化する原因としては、手垢やゴミの付着と金属疲労があげられます。そのためによく演奏する方の弦は劣化が早いのです。劣化を防ぐために、演奏後は弦をクロスなどで拭き上げることも有効です。

弦交換に便利な道具

ベースの弦交換はニッパーさえあれば可能ですが、他にも弦交換の質をあげられるアイテムはあるので、それらを紹介します。

コーモリ コウモリ食切り 喰切り 150mm

ニッパーと同じような役割ですが、プロの現場では食い切りと呼ばれるこのタイプを使うことが多いです。ベースは弦が太いので、カットするのには一般的なニッパーでは物足りないことが多いです。

例えば、ミニ四駆やプラモデルを作るようなニッパーだと刃がかけてしまったり、弦がスムースに切れなかったりします。

Planet Waves DP-0002Bass Pro-Winder

弦を手早く巻き上げるための道具として、ストリングワインダーと呼ばれるものがあります。ペグを手で回すとスピードが遅く、また手が疲れます。そのため、よほどの理由がなければこのような道具を使うのがおすすめです。

ストリングワインダーの価格はピンキリですが、100円のものではかえって弦を巻くことが難しいこともあります。Planet Wavesはダダリオという弦製造の最大手メーカーが関わるギターアクセサリーのブランドです。

このモデルは作りがしっかりしているので巻き上げる際に最小限の力で動作します。また、弦をカットするためのカッターも搭載するため、ギグバッグに一個忍ばせておくには最適ですね。

Freedom Custom Guitar Research SP-P-11 Lemon Oil

ローズ指板やエボニー指板のクリーニング、保湿に役立つのがレモンオイル、オレンジオイルなどです。

このオイルは東京のギターブランドFreedom Custom Guitar Researchが製造しています。ギターのプロが作るオイルこそ、ギターのメンテナンスには相応しいのではないでしょうか。

この手のオイルは種類が多く、さまざまな選択肢があります。だからこそ、このような間違いのない製品をおすすめしたいです。

KC フレット磨きプレート PFB-500 (2枚組み)

フレットを磨く際、指板に汚れが入らないようにマスキングテープで保護をすると前述しましたが、この作業は実に煩雑です。その手間を省いてくれるのがこの製品です。

ちょうどフレットのサイズだけがくり抜かれた板なのですが、これをフレットに当てることで周りの指板が保護されます。シンプルですが、私のような仕事には必需品です。

FERNANDES フェルナンデス スクラッチメンダー 946

この商品はフレットなどの金属部品を磨き上げるためのクリーナーです。適度な粘度があるために指板にクリーナーがはみ出しても綺麗に除去ができます。

金属磨きとしての性能も素晴らしく、実際の仕事で何年も愛用しています。

まとめ

本記事では弦交換の方法、時期、おすすめの道具を紹介しました。私は何年も仕事でベースの弦交換を行っていますが、その全てはこの記事に書いた通りの仕事です。

つまり、この記事を読めば間違いなくプロクオリティの弦交換ができるということです。最初は難しいと思いますが、根気強く丁寧に作業してみてください。

この記事の通りに何度も弦交換を経験した頃には、十分なクオリティで作業ができるようになるはずです!

こちらの記事では、初心者におすすめのベースの弦やおすすめのアイテムについて紹介しています。ぜひこちらもチェックしてみてください。

マーケットエンタープライズフィールドセールス

嵯峨駿介 /
ビギナーズ編集部 ライター

23歳でベース専門店Geek IN Boxを立ち上げ。海外ブランドとの取引経験が豊富でアメリカ、ヨーロッパ、中国などの主要ギターショウに参加。ベースマガジンなどの専門誌や、ウェブメディアなどへの寄稿多数。※本記事の内容は嵯峨駿介個人の意見、知識を基に執筆しております。所属するベーシック株式会社及びGeek IN Boxの総意を代表するものではありません。

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