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トロンボーンジャズを知ろう!トロンボーンの魅力から演奏者の名盤まで解説
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トロンボーンによるジャズは近年ポピュラーになってきています。しかし、ジャズと聞いてイメージするのはトランペットやサックスなど、トロンボーンのイメージがない方も中にはいらっしゃるかもしれません。
そんなトロンボーンジャズですが、ジャズ界を代表するトロンボーン奏者が現れたこともあり、今でも根強いファンから愛されています。
ファンを魅了するトロンボーンジャズの魅力はいったい何なのでしょうか。
今回はトロンボーンジャズを知る上で欠かせないトロンボーンという楽器の魅力から、有名ジャズトロンボーン奏者、また一度は聴いてみたいジャズトロンボーン奏者が残した名曲のアルバムまで紹介していきます。
トロンボーンの魅力
トロンボーンという楽器の名前は知っていても、どんな楽器で、どんな音が出るのかよく知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ではトロンボーンの魅力はどんなところにあるのでしょう。
実は、トロンボーンには大きな特徴であるスライドや、トロンボーンという楽器だからできる演奏方法やサウンドなど、トランペットやサックスなどの花形楽器に負けないくらいのほかの楽器にはない魅力がたくさん詰まっています。
そんなトロンボーンの魅力についてさらに詳しく紹介していきます。
スライドして音程を変える唯一の金管楽器
トロンボーンの大きな特徴といえば、ステージでも目を惹くスライドです。トロンボーンは手で前後に大きくスライドして位置を変えることで音程を変えることができる唯一の金管楽器です。
このスライドで音の高さを滑らかに、自由自在に変えることができます。そのため、ピアノなどの楽器にはドレミという切れ目があるのに対し、トロンボーンにはありません。
また、楽器に印があるわけでもないので演奏者の感覚次第で音が変わってしまいます。そのため、演奏者はそのポジションを体で覚える必要があるので、持ち前のスライドが魅力でありながら、コントロールするには演奏者の技術が必要な楽器でもあります。
しかし、このスライドのおかげで細かく音の高さを変えることによりトロンボーンらしいビブラートや、独特のグリスタンドを表現することができます。
どっしりとした中低音域のサウンド
トロンボーンのサウンドといえば、どっしりとした中低音域のサウンドが特徴的です。トロンボーンは音が出しやすい楽器といわれ、また、吹いたときの音量は最大級とも言われるほど大きな音が出ます。
さらに、柔らかく、優しく、音に厚みがあり、伸びる音色を持つことから、吹奏楽やオーケストラでは演奏全体を支える重要なパートを担当しています。
また、そのサウンドを活かしたソロでは、温かみのある優しい音色でメロディを奏でることもできます。
トロンボーンのサウンドはそれだけではなく、金管楽器らしいパワフルなサウンドも出すことができるので、かっこいい爽快なメロディを奏できます。
人の声に近いと言われている
トロンボーンの特徴的な音色から「人の声に近い」と言われています。
そのため、15世紀頃には「聖なる楽器」とも呼ばれており、もともとは教会などで演奏される宗教楽器として使われていました。
神々しい雰囲気を出すため、宗教的な音楽では旋律を支える伴奏としての役割を担っていました。トロンボーンならではの温かみのある音色は他の楽器では味わえない魅力の一つです。
どんなジャンルでも活躍する楽器
トロンボーンが活躍する場所として最初にイメージするのはオーケストラや吹奏楽ではないでしょうか。オーケストラや吹奏楽でトロンボーンは重要な役割を果たしています。
トロンボーンはよく「ハーモニー楽器」と呼ばれています。編成にもよりますが、大編成のオーケストラや吹奏楽ではトロンボーン奏者が複数人おり、一人一音を担当し、複数人で演奏することによってハーモニーを作ります。
演奏を支えることができるトロンボーンならではの豊かな響きと、中低音域サウンド、そしてスライドで音程を細かく調整できる楽器であるからこそハーモニーを作る際にはトロンボーンがぴったりなのです。
トロンボーンが活躍するのはオーケストラや吹奏楽のみではありません。持ち前のパワフルな音色でジャズでも大活躍の楽器です。
ビッグバンドでは、トロンボーンの低い音域からベースラインを任されることもあります。
もちろん、どのジャンルおいても、トロンボーンのサウンドやスライドを生かし、ソロとしても大活躍します。そのため、トロンボーンのデュオやカルテット(四重奏)などのアンサンブルも非常に魅力的です。
どのジャンルでも重要な役割を任される、なくてはならない楽器と言えるでしょう。
トロンボーンのジャズの有名奏者
ジャズの世界には、トロンボーンならではのサウンドや特徴を生かして素晴らしい演奏をする名プレイヤーがたくさんいます。
その中でも世界中でファンから賞賛されるほどのジャズ界を代表するジャズトロンボーン奏者から、日本だけでなく世界をまたにかけて活躍する日本を代表するジャズトロンボーン奏者、今話題の女流ジャズトロンボーン奏者まで、知っておきたい有名演奏者をご紹介します。
J.J. Johnson(J.J.ジョンソン)
世界でも最高峰なジャズトロンボーン奏者としてまず挙げられるのはJ.J. Johnson(J.J.ジョンソン)でしょう。モダンジャズの第一人者として活躍していた彼の演奏はフレーズの多彩さが特徴的です。
トロンボーンはスライドで音程を変えるため、速くスライドを動かして音を変えるのが難しい楽器でありながら、彼は高速のフレーズもスラスラと奏で、超絶技巧を持つ奏者として人気ジャズプレイヤーになりました。
また、テクニックのみならず、美しいメロディもジャズファンを魅了し、彼が演奏するトロンボーンソロも魅力の一つです。
ジャズトランペット奏者マイルス・デイビスなどジャズ界を代表する名プレイヤーとも共演を果たしています。
Carl Fontana(カール・フォンタナ)
Carl Fontana(カール・フォンタナ)は、当初は様々なビッグバンドで活躍し、後にバンドを率いていたモダンジャズのトロンボーン奏者です。
また、トロンボーン界隈では、彼はドゥードゥルタンギングという奏法を駆使して演奏をしていたことで有名です。
彼のソロは速いテンポのフレーズでもそのテンポをキープしながら滑らかに演奏するのが特徴で、それを可能にしたのがドゥードゥルタンギングという奏法です。
Curtis Fuller(カーティス・フラー)
Curtis Fuller(カーティス・フラー)はモダンジャズを代表する世界的なジャズトロンボーン奏者です。
また彼は、有名ジャズドラマーであったArt Blakey(アート・ブレーキー)が率いるArt Blakey’s Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズ)のメンバーとしても知られています。
そのほかにも、さまざまなところでジャズセッションを行い人気を得ていました。
味のある、切なさの中にもどこか温かみのあるような、心に響く音色を奏でる彼の演奏は今もなおジャズファンに親しまれています。
向井滋春
日本一のジャズトロンボーン奏者といえば、まず向井滋春が挙げられるでしょう。
彼は世界的にも有名なトロンボーン奏者で、当初は日本でモダンジャズバンドで腕を磨き、1975年に新宿ジャズ賞を受賞、1976年にプロデビューを果たします。
その後ニューヨーク在住時にフュージョンジャズに触発され、日本に帰国後もフュージョンジャズのバンドを結成しています。
その後もさまざまなバンドに参加するも、1980年代後半にジャズドラム奏者である巨匠Elvin Jones(エルヴィン・ジョーンズ) のバンド「Japanese Jazz Machine」に参加したことからモダンジャズに再びのめり込みます。
日本のみならず世界の舞台でも活躍し、今もなお第一線で活躍するトロンボーン奏者です。
THE BON BONES(ボン・ボーンズ)
実力のある日本人女性トロンボーン奏者、上杉優と駒野逸美からなるデュオユニットです。
トロンボーンならではの柔らかく温かみのある音色でジャズを演奏するTHE BON BONES(ボン・ボーンズ)は、聴く者をリラックスさせるような温かい雰囲気を感じ取ることができます。
また2人のファースト・アルバム「MELBA’S MOOD」ではトロンボーンがジャズ界で再評価されるほど好評を博し、国内のみならず国外でも活動の幅を広げています。
今後のジャズトロンボーン界を担う、今をときめくトロンボーン奏者です。
ジャズ有名奏者のおすすめ曲・アルバム
日本を代表する演奏者から世界中で愛される演奏者まで、さまざまなジャズトロンボーン奏者を『トロンボーンのジャズの有名演奏者』で紹介しましたが、その有名演奏者たちが残した、一度は聴いておきたい名演奏が収録されているアルバムを厳選してご紹介します。
演奏者ならではの個性や技法、表現豊かな音色を堪能でき、中には演奏者のオリジナル曲からジャズの名曲まで収録されているものもあります。
J.J.ジョンソン ブルー・トロンボーン 限定版
ジャズピアニストとして名をはせたTommy Flanagan(トミー・フラガナン)など、ピアノ、ドラム、ベースに当時最高峰な演奏者であった豪華なメンバーを迎え、さらにJ.J.ジョンソンのトロンボーンを加えたワン・ホーン・カルテットで録音されたアルバムです。
このアルバムには自作曲からミュージカルナンバーまで収録されており、絶頂期だったJ.J.ジョンソンの美しく響く音色に、見事なアドリブソロを聴くことができる最高傑作になっています。ジャズファンがこよなく愛する名盤です。
カール・フォンタナ Fifties
モダンジャズのトロンボーン奏者カール・フォンタナの名演奏が録音されているアルバムです。小さなグループでのセッションからビッグバンドでの彼のソロを聴くことができます。
カーティス・フラー Blues Ette
モダンジャズトロンボーン奏者の第一人者として知られるカーティス・フラーを代表する名盤です。
モダンジャズで作曲、編曲者としても評価が高いテナーサックス奏者、Benny Golson(ベニー・ゴルソン)など、豪華ジャズプレイヤーを迎えて行われた収録は、それぞれがつなぐ心地よいソロが聴きどころです。
彼らの演奏による名曲も収録されており、モダンジャズの永遠のベストセラーとして高い評価を得るほどジャズのファンの中でも人気の高い名盤です。
向井滋春 J5 フィーチャリング 大西順子
日本を代表するトロンボーン奏者である向井滋春と、ジャズピアニストとして知られる大西順子のセッションが実現したアルバムです。
ジャズピアニスト大西順子の見事な技術に加え、テナーサックスやベース、ドラムを迎えて録音された彼らのセッションは、ゆったりとした曲調から激しく全員が入り乱れる演奏や、次々に繰り広げられるソロなど臨場感ある演奏を楽しむことができます。
また、向井滋春のリーダー作となったこのアルバムは、彼の力強く、時に切ないトロンボーンのソロを多いに堪能することができます。このアルバムには彼のオリジナル曲も収録されています。
THE BON BONES MELBA’S MOOD メルバズ・ムード
ジャズ界で好評を博したTHE BON BONESのファースト・アルバムです。
2人の温かい音色でリラックスをしながら聴けると話題を呼んだこちらのアルバムは、ジャズトロンボーンを聴く上でぜひ聴いてほしい一枚です。
また、心に癒しを届けてくれる演奏でありながら、所々にかっこいいアレンジもあり、2人のアドリブも聴きどころです。
オリジナル曲のほかにハードバップの名曲も収録されています。ハードバップの巨匠への敬意と、2人が歌っているかのような息の合った美しいメロディが盛り込まれたアルバムです。
トロンボーンによるジャズを堪能しよう
トロンボーンにはトロンボーンならではの楽器の特性やサウンドという魅力があり、さらに、ジャズトロンボーン奏者ならではの個性が光るテクニックや表現力によって聴く者を魅了してくれます。
トロンボーンのジャズについて気になっていたけれど今までよくわからなかった方、曲を聴きたいけれど何から聴けばよいのかわからなかった方も、今回紹介した有名ジャズトロンボーン奏者の演奏を聴いて、トロンボーンによるジャズを堪能してみましょう。
こちらの記事では、トロンボーンアンサンブル曲やトロンボーンレンタルサービスをご紹介しています。
ビギナーズ 編集部 /
ビギナーズ編集部 ライター
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